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10月 3, 2022

実務家の観点から見た改正ベトナム知的財産法の特許関連事項

特許は、2022年6月16日にベトナム国民議会で可決され、2023年1月1日に発効する改正知的財産法(以下、「 改正IP法」という)の主要部分である(ただし、2024年1月14日に延期される予定の農薬品の実験データの保護に関する規定を除く)。

改正IP法の改正・補足内容としては、発明の新規性の評価に関する第60条、そして、特許保護証書の無効理由に関する第96条に、注目される特許関連の改正がある。これらの改正点について、以下に説明する。

 

[1] 第60条第1項に基づく先行技術

発明の新規性に関する改正IP法第60条第1項の重要な改正は、発明が新規性を喪失したとみなすことができる範囲を拡大することである。

ベトナムで初めて、 「秘密の先行技術」、すなわち、出願日または優先日が先の特許出願であるが、審査されている特許出願の出願日または優先日以降に公開された特許出願が、先行技術文献として導入されている。

 

上図では、A 2の出願時に、秘密の先行技術A 1が出願されているが、まだ公開されておらず、公衆が秘密の先行技術A1にアクセスすることができない。この時点では、A 1出願人とベトナム国家知的財産庁のみがA 1の出願を認識できる。

2009年および2019年に改正された2005年IP法の規定では、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価する際に先行技術文献とはならない。しかしながら、先願主義 および優先権の原

則に基づき、A1特許出願が存在する場合には、A2特許出願の特許性を否定するための他のアプローチが知的財産庁には存在していた。

改正IP法第60条第1項 (b) の規定を補足することにより、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価するための 「秘密の先行技術」 と公式にみなすことができる。その結果、本改正は、「秘密の先行技術」 を用いて新規性を評価するための、より合法的で直接的かつ包括的なツールを提供する。

改正後の第60条第1項の規定から、「A 1とA 2の出願人が異なる場合に限定されるか(国によっては、A 1とA 2の出願人が同一の場合には、秘密の先行技術には適用されない)」、また、「外国で出願され、まだ公開されていない特許がベトナムにおいて秘密の先行技術とはみなされないかという「国内限定」 の有無」など、あいまいな点がまだある。改正IP法の施行後は、これらのあいまいな点を明確にするために、多くのガイダンスが発表される可能性が高い。

最後に、「秘密の先行技術」 の使用に関する規定は、発明の新規性の評価にのみ適用され、進歩性の規定には適用されない。

 

[2] 第96条に基づく新たな特許無効理由

第96条 が改正され、特許無効理由が追加された。現在の2つの理由は、 (i) 出願人がその発明を登録する権利を有さず、またはその権利を譲渡されてもいない場合、 (ii) 発明の主題が保護条件を満たしていなかった場合、である。改正IP法は、以下の規定を追加している。

(iii) 特許は、次の場合にはその全部が無効となる。

  • 特許出願が安全保障に関する管理措置に違反して出願された場合、又は
  • 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識から直接創作された発明について、登録出願の願書にその遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識の由来を開示していない、又は正確に開示していない場合

(iv) 次の場合には、特許の全部又は一部が無効となる。

  • 補正が、開示された主題の範囲を拡大し、又は出願において主題の性質を変更する場合
  • 明細書において発明が十分かつ明確に開示されていない場合
  • 特許発明が当初明細書における開示の範囲を超える場合
  • 発明が先願主義を遵守していない場合

実際には、多くの無効審判官が過去に特許無効の請求においてこれらの理由を引用しているが、我々の知る限り、知的財産庁は特許を無効とするいかなる審決においても、これらの事実的根拠を未だ使用していない。ベトナムでこれらの理由が法律で成文化されたのはこれが初めてであり、無効の請求で今後頻繁に使用される可能性がある。

安全保障に関する管理措置の規定に違反して出願された発明の非保護は、現行規則に記載されている。しかしながら、安全保障に関する管理措置の対象として「ベトナムの組織及び個人の発明」 及び 「ベトナムで創作された発明」の特定などの、依然としていくつかの不明確で議論の余地がある点がみられる。

改正IP法は、安全保障に関する管理措置に関する規定を、特許出願が本規定に違反して出願された場合に特許を無効とする理由としており、また、上記の曖昧な用語を、 「国防及び安全保障に影響を及ぼす技術分野における発明であって、ベトナムにおいて創作され、かつ、その登録する権利がベトナムに在住するベトナム人又はベトナム法に基づき設立された法人に属するもの」 とより明確な用語に置き換えている。

しかしながら、「ベトナムで部分的に創作された発明」、「ベトナム法人と外国法人とによって共同で所有される発明」、「ベトナムで創作されたが、ベトナム法人の登録する権利が出願前に外国法人に譲渡された発明」などの事例に対応するためには、より具体的なガイドラインがまだ必要である。

遺伝資源および遺伝資源に関連する伝統的知識の保護は、生物多様性に関する法律No.20/2008/QH 12 (法律No.35/2018/QH 14により改正)で規定されている。特許出願における遺伝資源又は遺伝資源に関する伝統的知識の開示に関する規制の導入は、そのような資源を利用して新たな技術的解決策を生み出す傾向に沿ったものである。この規定は、生物多様性に関する法律に定めるものに加え、当該遺伝資源の損失を回避するための措置を追加するものである。

新しい概念ではないが、現行の知的財産法では、特許出願における遺伝資源の開示や伝統的な遺伝資源の知識に関する規定は全く言及されていない。したがって、明細書に開示すべき情報、この理由に基づく特許無効手続における開示情報の評価方法等について、具体的な指針が必要である。

特許出願の審査において要件として言及されているが、開示、特許明細書の補正又は先願主義に関する理由が知的財産法の特許無効理由として認められたことはない。これらの無効理由を改正IP法に盛り込むことは全く合理的である。しかしながら、 「それぞれの技術分野の当業者」 を定義する手続や権限など、いくつかの部分は不明なままである。

 

[3] 結論

我々の意見では、実務家から多くのフィードバックを受けた改正IP法は、ベトナムの知的財産環境に必要かつ合理的な多くの変更を導入した進歩的なものである。しかしながら、これらの新しい特許に関する条項をどのように理解し実施するかについて、より明確にし、専門的な助言を必要とするいくつかの曖昧さがある。

その他の情報 

7月 4, 2025
知的財産の管理 ベトナムの活況を呈しているデジタル経済の成長は大きな可能性を秘めている一方で、オンライン上の知的財産権侵害という根深い問題を引き起こしている。知的財産権者が直面する問題は、デジタルサービス(ストリーミングサイトやトレントサイト(torrent site)など)における著作権侵害から、電子商取引サイトやソーシャルプラットフォームを通じた模倣品の販売、そして商標の誤った使用による権利の濫用まで、多岐に渡っている。これらの侵害は利益を圧迫するだけでなく、ブランドの評判を損ない、消費者に誤解を招いている。そのため、サイト・ブロッキングとキーワード・ブロッキングは、ベトナムで利用可能な権利行使ツールとしてますます重要な要素となっている。 ブロッキング行為に関する法的枠組み ベトナムにおけるサイト・ブロッキングおよびキーワード・ブロッキングは、特に2022年の知的財産法改正以降、法的枠組みの拡充によって支えられている。それ以前は、ブロッキングの法的根拠は複数の法律に分散しており、インターネットサービスプロバイダー(ISPs: internet service providers)は、当局からの正式な要請があった場合にのみ、著作権侵害コンテンツへのアクセスをブロックする義務を負っていた。 改正知的財産法における第198b条の導入は、著作権者がサイトブロッキングを直接申請するためのより明確な仕組みを確立し、大きな転換点となった。本規定により、インターネットサービスプロバイダーは有効な削除申請またはブロッキング申請に応じる義務を負う。 知的財産法に加え、情報技術法(Law on Information Technology)、サイバーセキュリティ法(Law on Cybersecurity)、広告法(Law on Advertising)、そして様々な政令などの重要な法律がある。これらの法令は、ベトナムにおけるブロッキング行為のための、より体系的かつ執行可能な根拠を提供しているが、実際のエンフォースメントは依然としてインターネットサービスプロバイダーの協力と侵害証拠の明確さに依存している。 管轄当局 これまで、権利者は科学技術省、文化スポーツ観光省、またはベトナム電子商取引・デジタル経済庁( iDEA: Vietnam E-Commerce and Digital Economy Agency)傘下の専門検査機関を通じて行政措置を講じることができた。しかしながら、最近の政府再編により、これらの機関は解散し、その機能は政府検査機関に移行した。これにより、近い将来、執行スケジュールに影響が出る可能性がある。ブロッキング命令を含む民事紛争は人民裁判所で扱われ、刑事事件は警察に移管される。 ブロッキングメカニズムの実践的理解 これらの措置を効果的に展開するには、権利者はその実際的な適用方法を把握する必要がある。サイト・ブロッキングは直接的な封鎖であり、ベトナム在住のインターネットユーザーが、著作権侵害コンテンツをホストしているとみなされる特定のウェブサイトにアクセスできないようにする。インターネットサービスプロバイダーは通常、有効な申請または命令を受けて、これらのブロッキングを主に実施する。インターネットサービスプロバイダーは、DNSブロッキング(ウェブサイト名がIPアドレスに対応づけられるのを防ぐ)、IPアドレス直接ブロッキング、著作権侵害コンテンツを含むことが知られている特定URLのフィルタリングなどの技術的な手法を用いる。その目的は、国内から侵害の発生源へのアクセスを遮断することにある。 キーワード・ブロッキングは、著作権侵害コンテンツや製品の発見可能性をターゲットとしている。そのロジックは、たとえ著作権侵害サイトが存在したとしても、ユーザーがそのサイトを見つけにくくすることで、その影響を大幅に軽減できるというものである。これには、Google、Bing、あるいはローカル検索エンジンであるCốc Cốcなどの検索エンジンに対し、関連キーワードの検索結果から著作権侵害コンテンツへのリンクを削除またはランキングを下げるよう要請するといった積極的な措置が含まれる。また、Google Ads、YouTube、Facebook、TikTokなどのオンライン広告プラットフォームと連携し、ユーザーが特定のキーワードを検索した際、あるいは特定のキーワードを対象にした際に、模倣品や海賊版の広告が表示されないようにすることも含まれる。本アプローチは、消費者の検索と著作権侵害を伴うオンラインオファーとの関連性を効果的に断ち切るのに役立つ。 実務的なステップ ブロッキング措置の実施には、体系的かつ実務的なアプローチが必要である。プロセスは通常、侵害行為の特定および文書化から始まる。執行官(bailiff)による記録の実施や、必要に応じてテスト購入を行うなど、強固な証拠の構築および保管が、その後のエンフォースメント措置を裏付ける上で不可欠である。 確固たる証拠を保有する権利者は、最も適切な手段を選択する必要がある。この決定は、侵害の深刻さ、対応の緊急性、利用可能なリソースなど、多くの要因に左右される。一つの選択肢として、インターネットサービスプロバイダーの内部報告制度を利用して、削除通知を直接提出することが挙げられる。このアプローチは、明らかな違反に対しては迅速な結果をもたらす。しかしながら、その効果はインターネットサービスプロバイダーの協力に大きく依存し、その協力は必ずしも一定ではない。侵害が議論の余地がある、または正式な判決なしには評価できないほど複雑すぎる場合、インターネットサービスプロバイダーは対応を拒否することがある。このような場合、インターネットサービスプロバイダーは通常、当事者に対し、適切な機関を通じて解決を図るよう助言する。 あるいは、権利者は関係機関に行政上の申し立てることもできます。これは訴訟よりも効率的かつ費用対効果が高い場合が多いが、検査機関の再編が進行中のため遅延が生じる可能性がある。電子商取引における侵害については、 iDEAに申し立てることができる。 民事訴訟は、多額の損害賠償や差止命令を伴う訴訟に適しているが、大規模な模倣などの重大な犯罪には刑事訴訟が不可欠である。しかしながら、どちらの手段も時間とリソースを大量に消費するため、重大な侵害行為にのみ適用するのが最善である。 エンフォースメント・ルートに関係なく、プロセスには通常、次の内容が含まれる。 書類の準備:知的財産権の所有権、侵害の証拠、法的権限(委任状など)の証拠を揃える。必要な書類はインターネットサービスプロバイダーまたは機関によって異なる場合がある。 提出: 完成した書類を適切な機関に提出する。 審査および対応:機関が方式審査を行っている間、インターネットサービスプロバイダーは申し立てが明確であれば迅速に行動を起こす場合がある。侵害が確認された場合、インターネットサービスプロバイダーは制裁を科したり、コンテンツの削除を命じたりする場合がある。 エンフォースメント後も、違反が繰り返される危険性が高いため、継続的な市場監視が不可欠である。 最後に サイト・ブロッキングおよびキーワード・ブロッキングには課題がないわけではない。侵害者はVPN、ドメイン・ホッピング、キーワード操作、匿名性といった方策を用いてエンフォースメントを逃れることが多いからである。しかしながら、デジタル化が進むベトナムの市場において、知的財産権を保護するために不可欠なツールであることに変わりはない。これらは、侵害コンテンツへのアクセスと可視性を制限するための具体的なメカニズムを提供している。サイト・ブロッキングとキーワード・ブロッキングは、プラットフォームへの働きかけ、行政措置、そして必要に応じて訴訟といった手段を補完する、より広範なエンフォースメント戦略の重要な要素と捉えるべきであえる。侵害者の方策は進化し続けるため、成功には粘り強さ、適応力、そして積極的なアプローチが不可欠である。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Online IP Enforcement in Vietnam: Utilizing Site and Keyword Blocking
5月 7, 2025
Tilleke & Gibbinsは最近、暗号通貨マイニングハードウェアの大手メーカーであるBitmainを支援し、インドネシアで現地企業によって不法に登録されたBITMAIN商標およびANTMINER商標に対する取消訴訟で勝訴しました。 背景 Bitmainは2013年に設立され、BITMAINブランドおよびANTMINERブランドで市場展開しているデジタル通貨マイニングサーバーの大手メーカーです。同社は100以上の国および地域に顧客を持ち、強力なグローバル市場シェアを維持しています。 インドネシアでは、Bitmainは2018年からクラス35、36、41、42でBITMAIN商標の登録を有しています。しかしながら、現地企業によりBitmanが希望するクラスで商標をすでに登録していたため、他のクラスで商標を登録することができませんでした。Bitmainはまた、同じ現地企業がANTMINER商標を登録していることを発見し、インドネシアでANTMINER商標の出願を登録することが妨げられました。 Bitmainはこれらの商標と製品を世界中で使用しており、現地企業がインドネシアで登録する前にすでにさまざまな国で商標登録を取得していました。しかしながら、現地企業はインドネシアの先願主義を利用し、Bitmainが出願する前にBITMAINおよびANTMINER商標を取得しました。これは典型的な商標の先取りであり、外国商標を本来の所有者がまだ出願していない国で登録し、ブランドの成功から利益を得る意図を持つものです。 初期アプローチ 現地企業がこれらの商標の出願を行ったことを発見した後、Bitmainはそのうちの1つの出願がまだ公開期間中であることを確認しました。Tilleke & GibbinsはBitmainに対して当該出願に対して異議申立てを行うように助言し支援しましたが、異議申立ては現地企業が他のクラスで同一のBITMAIN商標をすでに取得していたため維持決定がなされました。結果として、出願は商標局のデータベースに登録されました。 異議申立てに対する不利な決定を受けて、私たちはまず、Bitmainと協力して、BITMAINおよびANTMINERの登録商標の自主的な削除または譲渡を求めることで相互に満足のいく解決策を模索しました。しかしながら、現地企業はBitmainの要求を拒否し、調停または訴訟を通じて問題を解決することを主張しました。選択肢を検討した後、Bitmainは当該登録商標に対する取消訴訟を提起することを決定しました。 訴訟を支援するために、商標の先取り者に関する徹底的な調査が行われ、Bitmainの主張を裏付ける証拠を収集しました。このステップは、特に現地企業の悪意の意図とBitmainのビジネスへの影響を示すため、Bitmainの事件を主張する上で重要でした。調査では、相手方の現地企業がインドネシアでBitmainのANTMINER製品を販売するためにBITMAIN商標およびANTMINER商標を使用していたことが明らかになりました。さらに、調査では、相手方がBITMAIN商標およびANTMINER商標がBitmainによって所有されていることを明示的に述べているウェブサイトを所有していることが判明しました。 訴訟手続 必要証拠を調査を通じて収集した後、BitmainはTilleke & Gibbinsの現地訴訟パートナーを通じて、悪意を主な法的根拠として、中央ジャカルタ商業裁判所に、現地企業に対する2件の取消訴訟を提起しました。 度重なる審理の後、2024年11月に裁判官はBitmainに有利な判決を下し、最終的にBitmainがBITMAIN商標およびANTMINER商標の正当な所有者であると宣言しました。Tilleke & Gibbinsは商業裁判所に対して、問題の商標がBitmainの商標と同一であり、悪意のある出願の前にさまざまな国で使用および登録されていたことを示し、現地企業が悪意で商標を出願したことを確認させるのに成功しました。商業裁判所はまた、現地企業のBITMAIN商標がBitmainの法人名と同一であると判断しました。 さらに、現地企業がこれらの商標を使用してBitmainの暗号通貨マイニングマシンANTMINERを販売しており、問題の商標が商業的に使用される意図で登録され、不正競争や消費者の欺瞞や誤認を招く可能性があったことを証明しました。これにより、消費者は現地企業がBitmainと提携していると誤認する可能性が高かった。 最後に、現地企業の悪意は、BITMAINおよびANTMINERがBitmainによって所有されていることを明示的に述べているウェブサイトによってさらに強調されました。結果として、裁判所はすべての商標を無効とし、商標登録簿から商標を削除するようインドネシア知的財産総局に命じました。 展望 インドネシアの先願主義制度は多くの課題に直面しており、商標の先取り者が当該制度を悪用する機会を生み出しています。Bitmain事件の結果は、インドネシアの知的財産制度にとって有望な展望を示しており、インドネシアが先願主義を採用しているにもかかわらず、その適用が絶対的ではないことを示唆しています。その一つが、悪意の出願は認められないというものです。 この成功にもかかわらず、いくつかの課題が残っています。取消訴訟は商業裁判所で審理される完全な訴訟であるため、手続遂行には時間と費用がかかります。それでも、本事件は商標登録における悪意のある意図に対処する重要性を強調し、法的システムが正当な商標所有者を不正行為から保護できることを示しています。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Indonesian Court Rules Against Bad-Faith Trademark Registrations
5月 7, 2025
ベトナムは、知的財産(IP: Intellectual Property)訴訟弁護士にとって重要な意味を持つ大規模な司法改革に移行しつつある。2025年半ばに可決されると予想される法律草案は、裁判所制度を現在の二審制を維持しながら、三審制に再構築します。本改革には、専門の知的財産裁判所の設立と、知的財産紛争解決に関する方法及び場所を根本的に変える可能性のある管轄権の再配分が含まれています。 63から34へ:省の減少・裁判所の減少、広がる影響力 新しいモデルでは、司法は (i) ハノイ、ダナン、ホーチミン・シティに新設される3つの控訴裁判所を有する最高人民裁判所、(ii) (行政統合により63省から34省に減少に伴う)34の省級人民裁判所、および(iii) 既存の県級裁判所に代わる新設の地方(regional-level)レベルの裁判所(tòa án khu vực)の三審制に編成されます。各地方裁判所は、省内の複数の県等の裁判所を包含しています。各省の県等の裁判所の数は、計画された減少後の司法地域の数に基づいて決定されます。 省級裁判所の数は減少しますが、新設される地方裁判所は管轄権が拡大されます。特に、これらの裁判所は広範な民事、商事、行政事件の第一審の管轄権を有します。刑事事件に関して、これらの裁判所は、20年以下の懲役刑に処される犯罪を扱い、より重大な犯罪は省級裁判所の管轄下に残ります。 知的財産訴訟弁護士にとって、これは、第一審事件、特に民事侵害紛争が、省級裁判所から地方裁判所に移行することを意味します。これらの地方裁判所が知的財産のエンフォースメントの新たな戦場となります。 同じ二審制、異なるゲームボード 司法構造は進化していますが、基本的な裁判所の枠組みは変わりません。ベトナムは第一審と控訴審の二審制を維持します。新しい点は、控訴がどこで行われるかという点です。 既存の3つの上級人民裁判所は解散される予定であり、それ代わりに、最高人民裁判所の直接管理下に3つの控訴部門が設立されます。これらの新しい控訴部門は、地方全体第二審の審理を担当します。 解散に備えて、上級人民裁判所は未解決の控訴事件(特に知的財産関連事件が多く含まれています)の解決に取り組んでいます。未解決の事件は新しい控訴部門に移管され、司法の継続性、再割当の計画、事件固有の専門知識の保持に関する重要な問題が生じることになります。 専門の知的財産裁判所の設立 最も期待されている改革の一つは、専門の知的財産裁判所の設立計画です。まだ草案段階ですが、本提案は、ハノイやホーチミン・シティなどの主要経済拠点にある特定の地方裁判所が破産および知的財産事件を第一審で扱うことを想定しています。 このモデルが実施されれば、知的財産訴訟は技術的に装備され、戦略的に配置された少数の裁判所に集中することになります。控訴は関連する省級裁判所で審理され、二審制が維持されます。この変更により、小規模な省で知的財産訴訟を提起することはできなくなります。代わりに、ハノイやホーチミン・シティなどの主要都市にある専門の知的財産裁判所に提起することが必要になります。これらの都市の裁判官は知的財産事件の取り扱いに経験があるため、知的財産紛争は以前よりも効率的かつ短期間で解決されると期待されています。 本モデルは、韓国の知的財産審判院(Intellectual Property Trial and Appeal Board)や日本の知的財産高等裁判所(Intellectual Property High Court)などの制度にベトナムを近づけます。グローバルな権利保有者や国内のイノベーターにとって、これは一貫性、専門知識、司法の予測可能性に向けた重要な一歩となるであろう。 デジタル司法の実現 構造改革と並行して、ベトナムの司法はよりデジタルファーストのアプローチの基盤を築いています。電子的訴訟手続のサービス、裁判費用のオンライン支払い、バーチャル審理、そして、その他のテクノロジーを活用したイノベーションを取り入れるために関連する手続法の改正が進行中です。 これらの変更は、特に国境を越えた紛争をナビゲートしたり、複雑な証拠提出を管理する知的財産訴訟当事者にとって、変革的なものとなる可能性があります。手続の効率が向上すれば、ボトルネックが減少し、迅速な司法アクセスが促進されるであろう。 移行期の混乱:予想されること 大規模な改革にはつきものですが、移行期間中には複雑な問題が発生する可能性があります。すでに裁判所のスケジュールに遅れが生じており、特に商事事件および知的財産関連事件において、新しい管轄権の変更が正式に決定されるまで新しい訴訟を受け入れたり処理したりすることをためらう裁判官もいます。 2025年6月に予想通り可決されれば、新しい司法制度は年末までに運用開始されます。知的財産実務家には、保留中の事件を再評価し、フォーラムの変更を予測し、手続の再調整に備えるための短い期間が与えられます。 要するに、本改革は単なる裁判所の再編成ではなく、ベトナムの法的ランドスケープの基礎的再構築になります。さらに、知的財産弁護士にとって、早期に適応することが最良の訴訟戦略となります。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Vietnam’s Court Reform: What IP Litigators Need to Know
4月 4, 2025
ベトナム政府は現在、業務の合理化と効率化を目的として、さまざまな機関の統合や廃止など、大幅な再編を進めている。この再編により、ベトナムの知的財産 (IP: Intellectual Property) の状況は大きく変化するであろう。今後数年間でベトナムにおけるIP保護とエンフォースメントに影響を与える可能性のある主要な動向について、以下に説明する。 [1]省庁の合併 再編における最も注目すべき変更の1つは、情報通信省 (MIC: Ministry of Information and Communications) と科学技術省 (MOST: Ministry of Science and Technology) を含む複数の省庁の合併である。ベトナムの知的財産庁はMOSTの傘下にある組織であるため、この合併はIP管理とエンフォースメントのさまざまな側面に影響を及ぼすことが予想される。 新しく統合された省庁(MOSTという名称を維持すると予想される)はデジタル経済の発展を積極的に支援しており、知的財産管理および訴訟のためのデジタルツールのさらなる進歩が期待されている。これにより、電子申請、オンライン手続、デジタル決済システムの強化が含まれ、知的財産関連サービスに対するアクセスのしやすさと効率性の向上に貢献する可能性がある。 ドメインネーム紛争についても、新省庁の下ではより協調的なアプローチが期待できる。従前はドメインネーム紛争の管轄はMICとMOSTに分かれており、手続が複雑になることもあった。現在では両分野が 1 つの省庁の管轄下にあり、これらの問題はよりシームレスに処理され、統一ドメインネーム紛争解決方針 (UDRP: Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy) に沿ったモデルが採用されることが期待される。 [2]検査機関の構造改革 この再編は、知的財産権のエンフォースメントを担当する検査機関、特にMOSTと文化スポーツ観光省(MOCST: Ministry of Culture, Sports, and Tourism)の管轄下にある検査機関にも影響を及ぼす。これらの変更により、行政執行措置に一時的な遅延が生じる可能性がある。 工業所有権違反を扱うMOST検査局は、移行期間中にエンフォースメントが遅くなる可能性がある。 著作権のエンフォースメントを担当するMOCST監査局も同様の混乱に直面する可能性がある。 しかし、これらの遅延は一時的なものであり、新体制が完全に実施されればエンフォースメントの効率は改善されると予想される。 [3]省政府によって現在管理されている市場管理局 従前、商工省の管轄下にあった市場管理局 (MSD: Market Surveillance Department) は、省政府の管理下に移管された。この地方分権化は当初IP摘発とエンフォースメント措置の調整と一貫性に影響を与える可能性がある。しかしながら、中央政府は地方当局にエンフォースメントの効率性を維持し、遅延の可能性を最小限に抑えるよう指示している。時間の経過とともに、この変更により、各省の特定のニーズに合わせた、より地域的かつ応答性の高いエンフォースメントが行われる可能性がある。 [4]裁判制度の合理化 この再編はベトナムの司法制度にも及び、省レベルと郡レベルの両方で大きな変化が予想される。 いくつかの省が合併される予定であり、省の総数は現在の63省から減少する。 郡レベルの裁判所は、最近の郡レベルの警察部隊の廃止に合わせて廃止される可能性がある。 これらの変更により、地方自治体の裁判手続への影響が軽減され、司法の独立性が強化されると期待されている。しかしながら、この再編により、当初、2025年末までに予定されていたIP裁判所の設立が遅れる可能性がある。合理化された裁判制度が運用されれば、IP紛争に関する判決がより迅速で一貫性のあるものになり、知的財産権の司法エンフォースメントが強化されると期待されている。 [5]税関によるエンフォースメントへの影響は最小限 ベトナム国境における知的財産保護の重要な要素である税関によるエンフォースメントは、税関当局の統合と合理化が進行中であるにもかかわらず、混乱は最小限にとどまると予想されている。国境検問所での模倣品の摘発と知的財産権のエンフォースメントという中核機能はこれまでどおり継続され、国境を越えた知的財産保護が引き続き強固なものとなる。 [6]見通し ベトナムの政府再編により、ベトナムの知的財産権の状況は大きく変わり、課題と機会の両方がもたらされることになる。一時的な遅れは生じるかもしれないが、技術の進歩、ドメインネーム紛争の調整の改善、エンフォースメントメカニズムの合理化に重点を置いた新しい省庁の下での知的財産権管理の統合により、長期的には効率性、一貫性、司法の独立性が向上すると期待される。   本記事は、  Managing Intellectual Propertyに最初に掲載された。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Vietnamese Government Restructuring: Impacts on Intellectual Property