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9月 6, 2022

タイ:税関登録および模倣品差止に関する新しい規則の施行

タイ税関は、税関登録制度および模倣品・海賊版の差止に関する税関手続を変更する通達を発出した。2022年8月4日に商標権侵害品および著作権侵害品の輸出入および通過に関する税関通達が掲載され、2022 年 7 月 29 日に発効した。

従来、税関登録を求める商標権者は、知的財産局(DIP: Department of Intellectual Property)に関連情報を登録申請する必要があったが、新しい通達の下では、商標権者だけでなく著作権者も知的財産情報を税関に直接登録することができる。

今回の通達により定められた制度および手続は以下のとおりである。

 

[1] 税関登録制度

商標権者または著作権者(またはその代理人)は、税関職員がタイから輸出、タイへ輸入、タイを通過する商品の真正性を確認するために必要な情報を記載した申請書を税関の取締部(Enforcement Division)に提出することができる。

申請書の情報は、受領日から 3 年間(または、商標権または著作権の保護の残存期間が3年未満の場合は当該残存期間)保管される。なお、更新は、有効期限の 30 日前までに申請することができる。

情報を変更する場合は、取締部に連絡する必要がある。

 

[2] 職権による差止手続

税関職員は、登録された情報に基づいて知的財産権侵害の疑いのある物品がある場合、当該物品を差止め、輸出者、輸入者またはトランジット目的の者(以下、「通過者」という。)(または代理人)並びに商標権者または著作権者に通知する。税関職員が輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)と連絡を取ることができない場合、または3日以内に通知を受けた者から異議が申立てられない場合、差止められた物品は侵害品とみなされる。

重要な点は、輸出者、輸入者、または通過者が商品について侵害していることを認めた場合、税関職員は検査、差止または逮捕の書面を作成し、その後の措置のために訴訟部門に事件は送られることである。新しい手続では、税関職員は権利者からの確認書を必要としない。

異議を申立てるには、輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)は、税関職員によって送付された通知を確認してから3日以内に、商品が侵害していないという証拠を添えて申立書を提出しなければならない。その後、税関職員は権利者に異議の申立てがあった旨を通知し、権利者は3日以内に検察に確認書および訴状を提出することができる。提出されない場合、差止められ商品は解放される。また、権利者は最大10日間の延長を請求することができるが、延長請求によって生じる損害に対して保証金の提供を求められる場合がある。

 

[3] 個別事件ごとの検査の申請

また、権利者は、自身の商標権や著作権を侵害している疑いのある物品について、税関検査を個別事件ごとに申請することができる。税関職員は、検査申請とともに提出された書類の正確性に疑いがなければ、物品を差止め、輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)並びに申請者に通知する。通知を受けた申請者は、税関職員と調整して24時間以内に物品を検査しなければならない。そうでない場合、税関職員は差止めた物品を解放する。

検査後、税関職員は、権利者(またはその代理人)に対し、物品の解放を望まない場合は、検査から3日以内に検察に確認書と訴状を提出するよう指示する。輸出者、輸入者、または通過者は、上述したように、異議申立てをすることができる。

 

[4] 賠償責任

税関登録または検査申請を申請した権利者は、輸出者、輸入者または通過者(又は代理人)および税関に対し、これらの申請にしたがい税関職員により誠実に行われた検査によって生じた損害について賠償責任を負う。

 

[5] 重要な留意点

法律が変更され、税関登録の申請は税関で行うことが義務付けられたことから、過去に知的財産局に登録された情報は失効したとみなされる。したがって、商標権者や著作権者は、侵害品に対する水際措置を確実にするために、新しい制度に基づく税関登録を申請することを推奨する。

税関の新制度は9月16日から開始されたので、権利者は新制度の下で登録申請用必要書類を準備する必要がある。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。Thailand Issues New Rules on Customs Recordation and Seizure of Counterfeit Goods

その他の情報 

10月 3, 2022
テクノロジーやインターネットの普及に伴い、消費者はますますオンラインショッピングに移行している。電子商取引プラットフォームは、国境を越えた商品の有用かつ実用的なオンライン取引を生み出した。電子商取引プラットフォームの販売業者数も近年大幅に増加している。当然のことながら、オンラインでの商品の供給量が多いほど、オンライン上での知的財産権侵害のリスクが高くなる。これにより、多くの人にとって買い物がより身近で便利になった一方で、悪徳販売業者にとっても大きなチャンスが生まれた。これらの悪徳販売業者は匿名であることが多く、身元を特定したり責任を追及したりすることが困難な場合がある。その結果、一部の知的財産権所有者は電子商取引プラットフォームに責任を負わせようとしており、電子商取引プラットフォームがユーザーによって提供されたコンテンツに対してどのような法的責任を負うのかという疑問が生じている。 2022年3月、中央知的所有権国際貿易裁判所(以下、「IP&IT裁判所」という)は、電子商取引プラットフォームが、そのプラットフォーム上での第三者による知的財産権侵害の申立てに対して責任を負わないという画期的な判決を下した。   [1] 寄与侵害 知的財産権は、侵害製品を販売または製造する者によって直接侵害されることもあれば、侵害行為を助長または侵害行為に寄与する者によって間接的に侵害されることもある。現在、タイの知的財産関連の法律には、電子商取引プラットフォームによる寄与侵害に関する明確な規定はなく、最近までこの問題に関する明確な判決はなかった。 タイにおける当該分野において最近の進展の一つは、2022年8月23日に施行される著作権法(第5号) B.E.2565 (2022)が挙げられる。本著作権法は、インターネットサービスプロバイダがユーザーによって提供された著作権を侵害するものに責任を負わない旨を規定している。しかしながら、現在のところ、特許、商標、その他の知的財産権に関して同様の規定は存在しない。 頻繁に適用される法律は民商法典第432条であり、これは不法行為を教唆または援助した者は共同行為者とみなされ、共同して損害を賠償する義務を負うと規定している。 しかしながら、法は、寄与侵害の基準が電子商取引プラットフォームにどのように適用されるべきかについて、明確に述べていない。 以上を踏まえ、2022年3月、IP&IT裁判所は、間接的知的財産権侵害に対する電子商取引プラットフォームの責任の問題について、初の判決を下した。   [2] 電子商取引プラットフォームは知的財産権を侵害する商品の販売に対して責任を負うのか? 2017年6月、タイ企業が原告として、中国最大の国際オンラインマーケットであるAlibaba.comとAlibabaグループ傘下の世界的な小売マーケットであるAliExpress.comで販売され、特許権を侵害する消火用ボールの出品物について、Hangzhou Alibaba Advertising Co., Ltd.(以下、Alibabaという)に対して特許権侵害訴訟を提訴した。この訴訟は、電子商取引プラットフォームに対する否定的なメディア報道をもたらした。 Alibabaは、自社のプラットフォームで販売されている商品が原告の特許権を侵害していると主張されていることを知らなかったし、また知る余地もなかったと主張した。その結果、被告は原告の特許権を侵害する責任を負うことができなかった。 購入者はまず、被告のウェブサイトから商品を注文するためのアカウントを登録しなければならない。アカウントを登録する際、購入者は契約を結び、購入者に生じたいかなる損害についても販売業者が責任を負うことを明記する。AliExpress.comのウェブサイトから消火用ボールを購入する原告は、Alibabaのプラットフォームのユーザーとして、この契約に拘束される。したがって、原告の主張は電子商取引プラットフォームではなく販売業者に対して行われるべきであった。 Alibaba.comとAliexpress.comに独立して商品リストを掲載し、販売を申し出たのは、販売業者であった。Alibaba自身は係争中の商品を掲載しておらず、プラットフォーム上でオンラインでの商品販売を管理する能力も持っていなかった。さらに、Alibabaは、消火用ボールが原告の特許権を侵害していることを知らなかったし、また知る余地もなかった。また、侵害に対抗するため、Alibabaは強固なnotice-and-takedown システムも有し、noticeを受けとると掲載されている侵害商品を削除することができる。 2022年3月24日、IP&IT裁判所は被告に有利な判決を下し、Alibabaはウェブサイト上で商品を売買するサービスを提供するオンラインプラットフォームに過ぎず、被告は原告の特許権を侵害していないと結論付けた。   [3] 所見 これは、IP&IT裁判所が間接的知的財産権侵害に対する電子商取引プラットフォームの責任を扱った初めての事件であり、画期的な事件である。特に注目すべきは、裁判所が適用した理由である。裁判所は、国際基準を反映した基準を使用し、電子商取引プラットフォームの実際の知的財産権侵害に関する知識、知的財産権侵害から金銭的利益を得た者、そして電子商取引プラットフォームが侵害行為を制御する能力を考慮した。本判決はまた、裁判所が電子商取引プラットフォームが実際にどのように運用されているのか?、そして、プラットフォーム上の知的財産権侵害の疑いのある疑義品を管理する能力をも検討することを示している。 電子商取引やオンラインショッピングが成長を続けるにつれ、プラットフォームに対する知的財産権侵害の申立ても増えている。本判決は、これらの問題に影響をあたえる可能性があるものである。
10月 3, 2022
特許は、2022年6月16日にベトナム国民議会で可決され、2023年1月1日に発効する改正知的財産法(以下、「 改正IP法」という)の主要部分である(ただし、2024年1月14日に延期される予定の農薬品の実験データの保護に関する規定を除く)。 改正IP法の改正・補足内容としては、発明の新規性の評価に関する第60条、そして、特許保護証書の無効理由に関する第96条に、注目される特許関連の改正がある。これらの改正点について、以下に説明する。   [1] 第60条第1項に基づく先行技術 発明の新規性に関する改正IP法第60条第1項の重要な改正は、発明が新規性を喪失したとみなすことができる範囲を拡大することである。 ベトナムで初めて、 「秘密の先行技術」、すなわち、出願日または優先日が先の特許出願であるが、審査されている特許出願の出願日または優先日以降に公開された特許出願が、先行技術文献として導入されている。   上図では、A 2の出願時に、秘密の先行技術A 1が出願されているが、まだ公開されておらず、公衆が秘密の先行技術A1にアクセスすることができない。この時点では、A 1出願人とベトナム国家知的財産庁のみがA 1の出願を認識できる。 2009年および2019年に改正された2005年IP法の規定では、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価する際に先行技術文献とはならない。しかしながら、先願主義 および優先権の原 則に基づき、A1特許出願が存在する場合には、A2特許出願の特許性を否定するための他のアプローチが知的財産庁には存在していた。 改正IP法第60条第1項 (b) の規定を補足することにより、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価するための 「秘密の先行技術」 と公式にみなすことができる。その結果、本改正は、「秘密の先行技術」 を用いて新規性を評価するための、より合法的で直接的かつ包括的なツールを提供する。 改正後の第60条第1項の規定から、「A 1とA 2の出願人が異なる場合に限定されるか(国によっては、A 1とA 2の出願人が同一の場合には、秘密の先行技術には適用されない)」、また、「外国で出願され、まだ公開されていない特許がベトナムにおいて秘密の先行技術とはみなされないかという「国内限定」 の有無」など、あいまいな点がまだある。改正IP法の施行後は、これらのあいまいな点を明確にするために、多くのガイダンスが発表される可能性が高い。 最後に、「秘密の先行技術」 の使用に関する規定は、発明の新規性の評価にのみ適用され、進歩性の規定には適用されない。   [2] 第96条に基づく新たな特許無効理由 第96条 が改正され、特許無効理由が追加された。現在の2つの理由は、 (i) 出願人がその発明を登録する権利を有さず、またはその権利を譲渡されてもいない場合、 (ii) 発明の主題が保護条件を満たしていなかった場合、である。改正IP法は、以下の規定を追加している。 (iii) 特許は、次の場合にはその全部が無効となる。 特許出願が安全保障に関する管理措置に違反して出願された場合、又は 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識から直接創作された発明について、登録出願の願書にその遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識の由来を開示していない、又は正確に開示していない場合 (iv) 次の場合には、特許の全部又は一部が無効となる。 補正が、開示された主題の範囲を拡大し、又は出願において主題の性質を変更する場合 明細書において発明が十分かつ明確に開示されていない場合 特許発明が当初明細書における開示の範囲を超える場合 発明が先願主義を遵守していない場合 実際には、多くの無効審判官が過去に特許無効の請求においてこれらの理由を引用しているが、我々の知る限り、知的財産庁は特許を無効とするいかなる審決においても、これらの事実的根拠を未だ使用していない。ベトナムでこれらの理由が法律で成文化されたのはこれが初めてであり、無効の請求で今後頻繁に使用される可能性がある。 安全保障に関する管理措置の規定に違反して出願された発明の非保護は、現行規則に記載されている。しかしながら、安全保障に関する管理措置の対象として「ベトナムの組織及び個人の発明」 及び 「ベトナムで創作された発明」の特定などの、依然としていくつかの不明確で議論の余地がある点がみられる。 改正IP法は、安全保障に関する管理措置に関する規定を、特許出願が本規定に違反して出願された場合に特許を無効とする理由としており、また、上記の曖昧な用語を、 「国防及び安全保障に影響を及ぼす技術分野における発明であって、ベトナムにおいて創作され、かつ、その登録する権利がベトナムに在住するベトナム人又はベトナム法に基づき設立された法人に属するもの」 とより明確な用語に置き換えている。 しかしながら、「ベトナムで部分的に創作された発明」、「ベトナム法人と外国法人とによって共同で所有される発明」、「ベトナムで創作されたが、ベトナム法人の登録する権利が出願前に外国法人に譲渡された発明」などの事例に対応するためには、より具体的なガイドラインがまだ必要である。 遺伝資源および遺伝資源に関連する伝統的知識の保護は、生物多様性に関する法律No.20/2008/QH 12 (法律No.35/2018/QH 14により改正)で規定されている。特許出願における遺伝資源又は遺伝資源に関する伝統的知識の開示に関する規制の導入は、そのような資源を利用して新たな技術的解決策を生み出す傾向に沿ったものである。この規定は、生物多様性に関する法律に定めるものに加え、当該遺伝資源の損失を回避するための措置を追加するものである。 新しい概念ではないが、現行の知的財産法では、特許出願における遺伝資源の開示や伝統的な遺伝資源の知識に関する規定は全く言及されていない。したがって、明細書に開示すべき情報、この理由に基づく特許無効手続における開示情報の評価方法等について、具体的な指針が必要である。 特許出願の審査において要件として言及されているが、開示、特許明細書の補正又は先願主義に関する理由が知的財産法の特許無効理由として認められたことはない。これらの無効理由を改正IP法に盛り込むことは全く合理的である。しかしながら、 「それぞれの技術分野の当業者」 を定義する手続や権限など、いくつかの部分は不明なままである。   [3] 結論 我々の意見では、実務家から多くのフィードバックを受けた改正IP法は、ベトナムの知的財産環境に必要かつ合理的な多くの変更を導入した進歩的なものである。しかしながら、これらの新しい特許に関する条項をどのように理解し実施するかについて、より明確にし、専門的な助言を必要とするいくつかの曖昧さがある。
10月 3, 2022
2022年7月1日、ミャンマー商務省は2019年商標法に基づく出願の様式を規定した通知第44/2022号を発行した。ミャンマーの知的財産局(IPD: Intellectual Property Department) の 「ソフトオープン」 期間が2年に迫っており、本格的なオープンの時期は未定であるが、この新たな通知は実質的な進展であり、商標法の完全実施に向けての進展と考えることができる。 通知には、(知的財産局のウェブサイトでミャンマー語と英語の両方で発行された) 次の19の様式について説明した付属書が付属していた。 商標の登録出願 代理人の選任 出願の回復の請求 出願の訂正の請求 出願の取下げの請求 出願に係る商品又はサービスのリストを限定する請求 出願の分割の請求 商標登録に対する異議申立 登録証の謄本交付の請求 商標登録の訂正請求 商標登録の更新の請求 商標登録の名義変更の登録の請求 登録商標のライセンスの登録の請求 登録商標のライセンスの登録抹消の請求 登録商標の無効の請求 登録商標の取消の請求 代理人変更の請求 期限延長の請求 不服申立て 附属書は、商標法に記載されている特定の請求に対応する各様式の詳細な要件を提供している。ただし、様式の使用と提出は、知的財産局からのさらなる手続上のガイダンスを待つ必要がある。 商標法に基づく事項の様式が発行されたので、次のステップは、各手続の料金の発表であり、その後、知的財産局はソフトオープンの第2ステップに入る準備が整う。 第2ステップでは、既存の商標(ミャンマーの旧制度下で登録れたもの、または国内で使用されているもの)は、商標所有者が直接またはオンラインシステムを利用できる現地代理人を通じて、公表された様式を使用して知的財産局に提出することができる。さらに、ソフトオープンの第2フェーズの開始時には、ソフトオープンの第1フェーズ中に既に提出された出願に関連する手数料を支払わなければならない。 知的財産局に既存の商標を再出願していない商標所有者は、次の第2フェーズでの出願の準備のために、商標ポートフォリオと書類を見直すべきである。知的財産局のソフトオープン中に出願された(フェーズに関係なく)すべての商標は同一の出願日が割り当てられる。
10月 3, 2022
最近成立した改正ベトナム知的財産法 (以下、「改正IP法」という)は、2009年を最後に知的財産法が改正されて以来、ベトナムの知的財産制度に対する最も重要な改正であり、222の条項のうち80の条項に影響を与え、12の新しい条項が新設された。 ベトナム国会は2022年6月16日に改正IP法を承認し、一部の条項を除き2023年1月1日に施行される。 商標に関する改正IP法の注目すべき点として、次の点が挙げられる。   [1] 音商標(Sound Marks)の保護 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP: Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)の一環としてベトナムが約束を果たすために、改正IP法は保護対象として音商標を追加している。しかしながら、これらの非伝統的な商標をより簡単に審査するために、法律は音商標が写実的表現(Graphical Representation)で表わすことができる必要があると規定している。 第73.7条には、「著作物の全部または一部の複製物。ただし、著作権者の承諾を得た場合は、この限りではない。」旨を構成する音商標の拒絶理由も追加された。この規定は広範囲にわたるものであり、音商標を含むものとは別に多くの場合に使用される可能性があり、広範な著作権の保護の向上が期待される。   [2] 周知商標(Well-Known Mark)の定義 第4.20条は、周知商標の定義を、 「ベトナムの領土全域にわたって消費者によって広く知られている」 という古い一般的な定義に代えて、 「ベトナムの領域内の関係分野の公衆に広く知られている」 ものを意味するように修正している。この新しい定義は、国際基準に沿ったものであり、これにより、商標所有者の商標がベトナムでの周知商標として認められる機会が増えると予想される。 また、改正IP法では、後願商標の拒絶理由との関係では、後願商標の出願日より前に周知状態を取得しなければならないことが明確化されている。さらに、改正IP法は、第75条に 示された8項目の基準のいくつかまたはすべてに基づいて、商標の周知性を決定することができることを確認している。   [3] 後願商標を拒絶するために使用される存続期間満了後の商標の期限の短縮 今日では製品のライフサイクルが短くなっていることを考慮し、ベトナムの規制を他の法域の法律や運用と適合させることを目的として、後願商標が保護されないようにするために使用される存続期間満了後の商標の期限が3年に短縮された (従前の規定では5年)。   [4] 取消または無効手続中の商標出願の停止 過去においては規定がないため、引用商標に対する取消または無効手続と商標出願の手続が相容れない場合、商標出願人はしばしばジレンマに直面した。しかしながら、改正IP法では、出願人はベトナム国家知的財産庁に対し、関連する不使用取消または無効の手続の結果を待つために、商標の審査手続の停止を請求することができる。これは、商標の帰趨に大きな影響を与える可能性がある。   [5] 「Bad Faith (悪意) 」 が正式に異議申立理由と無効理由となる 悪意の欠如は、商標所有者、特にベトナムで商標登録を受けていない者にとって、商標の無断使用者と戦う上で長年大きな困難となっていた。改正IP法では、 「悪意」 の行為が商標出願や登録に対して異議申立て・無効にする独立した法的理由として初めて認められた。   [6] 出願商標の新しい拒絶理由および登録商標の終了・無効の新たな理由 (1) 拒絶 改正IP法では、係属中の商標出願を拒絶する2つの拒絶理由が追加されている。 (i) ベトナムで保護されていた、または保護されている植物品種の名称の使用(そのような標章が、植物品種から収穫された同種または類似の植物品種あるいは同種の製品である商品に対して登録されている場合) (ii) 他人の著作権の保護の対象となる著作物のキャラクター又は図形の名称および画像であって、出願日以前に広く知られていたものの使用   (2) 終了 また、改正IP法では、登録商標の存続期間の終了理由として、次の2つが追加されている。 (i) 当該登録商標が、当該登録商標を付した商品又はサービスの普通名称(一般名称)となっていること (ii) 商標所有者又は所有者の許諾を受けた者が保護される商標を使用することにより、商品またはサービスの性質、品質または出所に関して消費者に誤認を生じさせること この改正は、EUベトナム自由貿易協定(EVFTA: EU-Viet Nam Free Trade Agreement)に基づく。   (3) 無効 改正IP法では登録商標を無効にするために新たな法的理由が設けられた。 (i) 登録商標の出願人に悪意があると判断された場合、その登録商標の一部または全部を取り消すことができること (ii) 商標出願の修正によって、最初に出願された商標の性質が拡大又は変更されたこと   [7] 立体商標を拒絶するより詳細な理由 改正IP法では、立体商標の拒絶理由を次のように追加し、明確化している。 (i) 立体商標は商品の一般的な形状である。 (ii) 立体商標は商品に必要な技術的(機能的)特性を表現したものに過ぎない。 (iii) 立体商標は商品の価値を大幅に高める。 最初の2つの理由は一般的で明確であるが、3番目の理由は新規なものであるが非常に曖昧であり、この条項をどのように解釈し適用するかについてのさらなるガイダンスが必要である。   [8] 商標異議申立と情報提供の並行手続 改正IP法では、審査手続中に第三者が意見を共有する仕組みが以前からあったことに加え、新たに第三者が商標出願に異議を申立てることができる仕組みが導入された。なお、第三者の意見は商標出願の審査に対する参考資料に過ぎず、対象の商標の公開日から商標保護証の付与の決定の日までいつでも提出できる。一方、異議申立ては、第三者が商標出願の公開日から5月以内に商標出願に対して異議を申し立てる独立したスキームである。   [9] コメント いくつかの不明確な規定が残っているが、改正IP法は、商標の権利化手続を容易にし、より良い方法で権利を確保し、ベトナムを世界の条約および一般的な慣行に近づけている。