You are using an outdated browser and your browsing experience will not be optimal. Please update to the latest version of Microsoft Edge, Google Chrome or Mozilla Firefox. Install Microsoft Edge

8月 21, 2025

タイ裁判所による、使用を通じて獲得した商標の識別性を認める稀な判決

タイ商標法において、識別性は商標登録および商標の保護における基本的要件である。タイの裁判所では、商標の使用ではなく、商標固有の特性に基づいて識別性を評価するのが一般的である。これは、使用を通じて獲得された識別性を証明するには、使用期間、流通範囲、宣伝広告活動など、実質的な証拠が必要となるためである。

しかしながら、知的財産・国際貿易裁判所(IP & IT裁判所)は最近、図形商標「weplay」が使用を通じて識別性を獲得したとの判決を下した。これはタイ商標法では異例の判決である。その後、特別控訴裁判所(Court of Appeal for Specialised Cases)は、商標の構成要素を総合的に評価した結果、商標の固有の識別性を認めた。

本記事では、固有の識別性と獲得された識別性の両方を証明するための基準について説明し、両方の裁判所の事例を示して、訴訟の準備と裁判所が識別性を評価する方法の理解に役立つ貴重な洞察を提供する。

[1] 背景

2017年、原告は、玩具ブロックを含む第28類の商品について、以下に示す商標について商標出願を行った。

登録官は、商標法第7条に基づき識別力がないという理由で出願を拒絶した。原告は商標委員会に審判請求し、商標委員会は、「 weplay 」という用語が第28類の商品に使用されている場合、「遊具」という出願された商品の性質を記述していると判断した。したがって、「 weplay 」は商標法第7条第2項(2)に基づき識別性がないと判断された。

[2] 知的財産・国際貿易裁判所の判決

2024年、知的財産・国際貿易裁判所は、「weplay 」という用語は造語ではなく、「we」と「play」を組み合わせたもので、「私たちは遊ぶ」という意味を伝えるものであるとの判決を下した。この用語が第28類の商品に使用されている場合、その商品の性質が「遊び道具」であることを説明していることになる。したがって、出願商標を識別力がないと判断した。

しかしながら、裁判所は原告が提出した証拠を検討したところ、原告はタイで10年以上にわたり当該製品を販売していたことが示されていた。請求書、オンラインおよび印刷カタログ広告、その他の文書を含むこれらの証拠は、タイにおいて10年以上にわたる広範な製品流通および広告と並行して、商標が継続的に使用されていたことを裏付けていた。当該証拠により、当該商標が付された商品が広く販売、流通、および広告されていたことが決定的に立証された。したがって、当該商標は、商標法第7条第3項に基づき、継続的な使用を通じて識別性を獲得したと判断された。こうして、第一審裁判所である知的財産・国際貿易裁判所は、当該商標は登録されるべきである旨の判決を下した。

その後、両当事者は控訴した。

[3] 控訴決定

2025年2月26日、特別控訴裁判所は、問題の商標が次の2つの重要な要素から構成されていると認定した。

  1. 単語「weplay」
  2. 珍しい色の組合せを有する丸みのある形をした図形

「weplay」という用語は記述的というより暗示的であり、消費者により商品と関連付けるには解釈が必要となると判断された。図形要素と組み合わせることで、商標全体として、消費者が商品を認定し識別することができる識別性を有する。したがって、本商標は、商標法第7条第1項及び第2項(8)に定める識別力の基準を満たしている。

したがって、特別控訴裁判所は、出願商標は本質的に識別力があるという結論を下した。

[4] コメント

この事例は、タイの裁判所が包括的なアプローチを採用し、商標の識別性を評価するためのより動的な枠組みの構築に貢献していることを浮き彫りにしている。また、使用を通じて獲得された識別性を考慮する傾向が高まっていることを示しており、商標訴訟においてより柔軟な要素となっている。

 

本記事についてのご質問などは、Mr.Nuttaphol Arammuangまでお問合せください。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。

Thai Court Finds Acquired Trademark Distinctiveness through Use in Rare Decision

その他の情報 

4月 2, 2024
2024年1月31日、ミャンマー知的財産局 (IPD: Intellectual Property Department) は、意匠法に基づく意匠出願の受付を2024年2月1日より正式に開始すると発表した。 知的財産局は、2023年10月31日に意匠法施行後3月後、Announcement No.1/2024が公表された。2023年9月29日に商業省 (MOC: Ministry of Commerce) が発行した意匠規則は、ミャンマーにおける意匠登録を規制するもう一つの重要な法令である。さらに、意匠登録および関連手続に必要なフォームは、2023年10月27日に発行された商業省Notification No.71/2023により指定され、手数料は知的財産当局によって2023年12月29日に発行されたNotification No.2/2023により指定されている。 意匠所有者 (個人及び法人) は、知的財産局に新規な意匠の登録出願を、電子的または郵送により、本人が直接又は現地代理人を通じて行うことができる。ミャンマーの意匠法の下で登録されるためには、意匠は 「新規」 でなければならない。すなわち、出願日または優先権を主張する場合は優先日の前に、ミャンマーの内外で公衆に開示されていないことが不可欠である。 ミャンマーにおいて意匠を出願し、法的保護を受けたい所有者は、出願に必要な全ての書類および情報の準備をできるだけ早く開始しなければならない。 ミャンマーにおける意匠登録関する詳細または意匠登録出願の支援については、Tilleke&Gibbins ([email protected]) までお問い合わせください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Myanmar Starts Accepting Industrial Design Registrations
4月 2, 2024
ミャンマー知的財産局 (IPD: Intellectual Property Department) は、2024年2月9日付の発表で、2019年著作権法に基づく著作権および著作隣接権の登録申請を受け付けていることを発表した。 2019年著作権法は、旧著作権法(1914年著作権法)に代わり、2023年10月31日に施行された。商業省 (MOC: Ministry of Commerce) は、2023年10月23日付のNotification No.70/2023により著作権法規則を発行し、ミャンマーにおける著作権関連事項に必要な手続を定めた。商業省は、著作権および著作隣接権に関する登録および関連する手続に要求されるフォームを、2023年11月20日付のNotification No.73/2023により発行した。政府費用について、知的財産当局は2024年2月13日付のNotification No.1/2024を発行した。 著作権保護は登録を必要とせずに自動的に発生するが、ミャンマーにおける著作物の所有権についてより強力な証拠を確保したい場合には、2019年著作権法の新しい枠組みの下で、権利者は自発的に著作物の登録を申請することができる。申請は、本人または現地の代理人を通じて、電子的または郵送により、行うことができる。ミャンマー国外の法人またはミャンマー国外の居住者である申請者は、知的財産局に申請するための現地の代理人を任命しなければならない。 ミャンマーにおける著作権および著作隣接権の自発的な登録に関する詳細、または著作権登録申請の支援については、Tilleke&Gibbins ([email protected]) までお問い合わせください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Myanmar Accepts Voluntary Registration of Copyrights and Related Rights
4月 2, 2024
インドネシア工業省 (MOI: Ministry of Industry) は、織物(textile)、繊維製品、バッグ、履物の輸入業者が輸入許可を申請する際に、適切な商標登録証を提出することを要求する新しい規則を発表した。これにより、商標所有者またはその代理人からの輸入任命書(letter of appointment to import)だけでは、これらの商品の輸入許可を取得するのに十分ではないことになる。 この要件は、2024年3月10日に施行された「織物、繊維製品、バッグ、履物の輸入に関する技術的検討を発行する手続(Procedures for Issuing Technical Considerations for Imports of Textiles, Textile Products, Bags and Footwear)」に関する2024年工業省Regulation No. 5に詳述されている。 対象製品 新しい規則は、以下の製品に適用される。 織物:繊維(Fiber)、糸(Thread)、生地(Fabric) 繊維製品:カーペット、その他の繊維製床敷物、衣類、既製服アクセサリー、その他の繊維製品 バッグ:スーツケース、財布、学生用バッグ、スポーツバッグ、ハンドバッグ、その他のバッグ 履物:靴、サンダル、モカシン(moccasins) 輸入許可 織物、繊維製品、バッグ、履物は、原則として、貿易を目的とした原材料、補助材料、消費財として、貿易を目的とした輸入許可を商業省 (MOT: Ministry of Trade) から取得して輸入することができる。 輸入許可には3つのカテゴリーがある。 消費のための一般輸入許可 (API-U):貿易を目的とした輸入活動を行う者に必要 生産者のための輸入許可 (API-P) 原材料または補助材料のサプライヤーのための輸入許可 (PPBB) 輸入許可の申請者は、一般輸入業者審査 (VIU: general importer verification) の申請書を提出しなければならず、その結果が工業省の技術的検討プロセスに反映される。工業省が技術的検討に基づいて勧告または承認を発行した場合、申請者は商業省に対する輸入許可の申請に進むことができる。 API-U輸入許可の申請および取得のプロセスには、以下の図に示すようにいくつかのステップがある。  新しい商標登録証に関する要件 2024年3月の工業省regulation No.5では、織物、繊維製品、バッグ、履物のAPI-U一般輸入許可を申請する際に、申請者は一般輸入業者審査(VIU)の結果とともに輸入する製品の商標登録証を提出する必要がある。 上記API-Pおよび上記PPBBの輸入許可を申請する場合、商標登録証は不要である。 影響 輸入する製品の商標登録証を提出するための新しい要件は、インドネシアで商標登録を取得していない対象製品の輸入業者にとって、商標所有者または委任代理人からの輸入任命書に頼ることができなくなるため、重要な問題となる。 既製服、その他の既製繊維製品、履物、バッグの輸入に関するこの追加要件は、従来の市場と電子商取引の両方で輸入品の流通が急速に増加していることに対応するものであり、商標登録証の要件は、インドネシアにおける多くの輸入品に対する規制を強化するために政府が講じた措置の一つである。 輸入業者は、適切な商標登録を提供できるように、商標所有者と早めに話し合う必要がある。通常、商標登録の取得には1~2年かかる。このリードタイムは、輸入許可を取得する前に考慮する必要がある。 インドネシアにおける織物、繊維製品、バッグ、履物の商標登録については、Tilleke&Gibbins ([email protected]) までお問い合わせください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Indonesia Requires Textile and Footwear Importers to Submit Trademark Certificates
12月 4, 2023
生成AIの出現は、イノベーターとクリエイターの状況を一変させた。多くの法律実務家が指摘しているように、AIの開発者および生成AIを使用する者の双方が、この進化する状況をうまく乗り切れるように、知的財産戦略の複雑さを理解することが不可欠である。本記事では、生成AIの領域における開発者とクリエイターの双方にとって、知的財産(IP)の主要な種類に関連するいくつかの重要な考慮事項を説明する。 生成AIの開発者のためのIP戦略 生成AI技術の開発者は、技術革新の状況において極めて重要な役割を果たしている。考慮すべき知的財産関連の課題は、自己の知的財産の保護、他人の知的財産権を侵害するリスクの軽減、知的財産の商業化の3点である。これらの課題の主な態様と、開発者に推奨される手引きを以下に示す。 IPの保護 著作権:AI開発者にとって主要考慮事項の1つは、芸術作品やソースコードなど、AIによって生成された著作物の保護である。幸いなことに、ほとんどの国では、これらの創作物は登録の必要がなく、著作権の保護を受けられる。その結果、著作物は創作された時点から自動的に保護される。しかしながら、所有権を確立するためには、著作物の登録を維持することが重要である。 商標:商標は、ブランドを確立し、保護しようとするAI開発者にとって不可欠である。ニース分類、特にclass 9 (ソフトウェア) 、class 35 (ビジネス管理とオンラインマーケティング) 、class 42 (ソフトウェアの設計および開発) には細心の注意を払う必要がある。これらのclassで商標を登録すると、ブランドと商品を強固に保護できる。 特許:真に革新的なAIアルゴリズム、技術、またはプロセスについては、特許を取得するという選択肢を検討するべきである。特許は強力な保護を提供するが、完全な出願プロセスと、発明が新規性・進歩性を有し、実際に実施可能であることを示す証拠を含む、発明の文書化が必要である。 営業秘密:営業秘密により、学習用データやアルゴリズムなどの貴重な資産を保護する。秘密を保持し、アクセスを制限して秘密性を維持する。秘密保持契約を含む法的契約は、これらの重要な要素を保護する上で非常に重要である。 他人の知的財産権を侵害するリスクの軽減 データ収集:AIモデルを学習するためにデータセットを収集する場合、合法的に取得されたデータを使用すべきである。収集委託されたデータセットや、著作者を特定できない著作物・著作者が不明な著作物には、利用権が付属していることが多く、より安全な選択が必要になる。著作権侵害の問題を回避するために、出所が不明なデータセットを扱う場合は注意すべきである。 データ保護法:AIの学習用データセットには、欧州の一般データ保護規則 (GDPR: General Data Protection Regulation) やタイの個人データ保護法 (PDPA: Personal Data Protection Act) などのデータ保護法の対象となる個人データが含まれている場合がある。これらのような適用されるデータ保護法に従わない場合、個人のプライバシー権が侵害され、法的な影響を受けるリスクがある。 IPの商業化 所有権の問題:特にIPの創作に複数の者が関与している場合、IPの所有権は複雑になる場合がる。将来の紛争や法的な複雑さを回避するために、所有権と潜在的な責任問題を明確にすることに努める必要がある。 ライセンスコンポーネント:知的財産権のライセンスは、商業的に利用するための基本的なツールである。ライセンスは、著作者が独自に創作した要素(コンポーネント)や生成AIの使用によって開発された要素を含む、著作物に対する所有権の範囲も定義する必要がある。AIによって生成された製品を商業化する場合は、所有権を有する、または創作した要素を特定するべきである。自身の知的財産と、オープンソースまたは他者のライセンスされた知的財産を組み込んだ要素を区別することで、自身の利益を保護しながら効果的なライセンス契約を作成しやすくなる。 クリエイターとアーティストのためのIP戦略 生成AIを使用するクリエイターおよびアーティストは、さまざまなIPの課題にも直面している。これらのいくつかは、上記で説明した様々なトピックに関連しているが、特定の懸念事項と推奨されるアプローチは異なる。例えば、クリエイターやアーティストは、IPの商業化や知的財産権の侵害のリスクに関して、各々様々な懸念を持っている。特に、生成AIを使用した二次的作品や共同で創作された発明に関連し、知的財産権の問題も表面化する。 知的財産(IP)の商業化とライセンス ライセンスと販売:生成AIを使用するクリエイターやアーティストは、エンドユーザーに対するライセンス契約を認める場合、ライセンスを付与したり、著作物を販売したりすることができる。これにより、収益化のための手段を提供し、多くのユーザーとクリエイティブな取組みを共有することができる。 知的財産権に対する所有権:生成AIおよびそのプロンプトによって創作されたIPの商業化を検討する場合、その所有権を決定することが必須の必要条件である。生成された作品に対するユーザーの貢献度を考慮する 「額に汗理論(sweat of the brow doctrine)」 のような要因は、所有権に影響を与える可能性がある。作品の創作に使用されるAIツールやプラットフォームの使用条件およびライセンス契約を慎重に確認する必要がある。明示的な所有権の条件がない場合、各管轄地域の法律によって所有権が決定されることがある。 商業上の取り決め:ライセンスやサブスクリプションなどのサービスモデルの種類も、著作権の所有権に影響を与える可能性がある。選択したライセンスモデルまたはサブスクリプションモデルによって所有権が影響を受ける可能性があるため、無料または有料のサブスクリプションにかかわらず、サードパーティのAIソフトウェアを使用して作品を作成する場合は、所有権に対する影響に注意する必要がある。 所有権 二次的作品:生成AIを使用して二次的作品を創作する場合、特に原作品が著作権で保護されているときは、原作品から利用許諾を得る必要がある場合がある。 共同で創作された発明:共同で創作された発明を含む状況や、共同ツールとして生成AIを使用する場合、(例えば、契約による)共同研究者間で所有権および責任を明確に定義することで、紛争を防止し、すべての貢献度が明確になり保護されることを保証できる。 他人の知的財産権を侵害するリスク 信頼できる生成AIの活用:他人の知的財産権を侵害したり、(GDPRなどの)他の法律に違反したりするリスクを軽減するには、データセットやトレーニング済みモデルなど、合法的に調達された素材で生成AIを常に使用することである。 公正利用の理論(fair-use doctrine)の用心:公正利用の要件および例外は、国によって大きく異なることがある。ある国で公正利用に該当するものが、別の国では該当しない可能性があるため、その国の法的状況を理解し、防衛手段としての公正利用に頼ることに注意する必要がある。 結論 生成AIは、イノベーター、開発者、クリエイター、アーティストにとって、エキサイティングな機会および複雑な課題の両方をもたらす。法的な複雑さ、特にIPに関連する複雑さは、このテクノロジーの関連領域で顕著である。そのため、効果的なIP戦略は、創作物を保護し、法的な落とし穴を回避し、イノベーションのメリットを活用するために不可欠である。慎重かつ綿密に練られた法的IP戦略は、クリエイター、イノベーター、およびその組織が、このダイナミックな状況の中で有意義な進歩を遂げるのに役立つ。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Navigating Legitimate Use of IP in Generative AI