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5月 7, 2025

悪意のある商標登録に対するインドネシア裁判所判決

Tilleke & Gibbinsは最近、暗号通貨マイニングハードウェアの大手メーカーであるBitmainを支援し、インドネシアで現地企業によって不法に登録されたBITMAIN商標およびANTMINER商標に対する取消訴訟で勝訴しました。

背景

Bitmainは2013年に設立され、BITMAINブランドおよびANTMINERブランドで市場展開しているデジタル通貨マイニングサーバーの大手メーカーです。同社は100以上の国および地域に顧客を持ち、強力なグローバル市場シェアを維持しています。

インドネシアでは、Bitmainは2018年からクラス35、36、41、42でBITMAIN商標の登録を有しています。しかしながら、現地企業によりBitmanが希望するクラスで商標をすでに登録していたため、他のクラスで商標を登録することができませんでした。Bitmainはまた、同じ現地企業がANTMINER商標を登録していることを発見し、インドネシアでANTMINER商標の出願を登録することが妨げられました。

Bitmainはこれらの商標と製品を世界中で使用しており、現地企業がインドネシアで登録する前にすでにさまざまな国で商標登録を取得していました。しかしながら、現地企業はインドネシアの先願主義を利用し、Bitmainが出願する前にBITMAINおよびANTMINER商標を取得しました。これは典型的な商標の先取りであり、外国商標を本来の所有者がまだ出願していない国で登録し、ブランドの成功から利益を得る意図を持つものです。

初期アプローチ

現地企業がこれらの商標の出願を行ったことを発見した後、Bitmainはそのうちの1つの出願がまだ公開期間中であることを確認しました。Tilleke & GibbinsはBitmainに対して当該出願に対して異議申立てを行うように助言し支援しましたが、異議申立ては現地企業が他のクラスで同一のBITMAIN商標をすでに取得していたため維持決定がなされました。結果として、出願は商標局のデータベースに登録されました。

異議申立てに対する不利な決定を受けて、私たちはまず、Bitmainと協力して、BITMAINおよびANTMINERの登録商標の自主的な削除または譲渡を求めることで相互に満足のいく解決策を模索しました。しかしながら、現地企業はBitmainの要求を拒否し、調停または訴訟を通じて問題を解決することを主張しました。選択肢を検討した後、Bitmainは当該登録商標に対する取消訴訟を提起することを決定しました。

訴訟を支援するために、商標の先取り者に関する徹底的な調査が行われ、Bitmainの主張を裏付ける証拠を収集しました。このステップは、特に現地企業の悪意の意図とBitmainのビジネスへの影響を示すため、Bitmainの事件を主張する上で重要でした。調査では、相手方の現地企業がインドネシアでBitmainのANTMINER製品を販売するためにBITMAIN商標およびANTMINER商標を使用していたことが明らかになりました。さらに、調査では、相手方がBITMAIN商標およびANTMINER商標がBitmainによって所有されていることを明示的に述べているウェブサイトを所有していることが判明しました。

訴訟手続

必要証拠を調査を通じて収集した後、BitmainはTilleke & Gibbinsの現地訴訟パートナーを通じて、悪意を主な法的根拠として、中央ジャカルタ商業裁判所に、現地企業に対する2件の取消訴訟を提起しました。

度重なる審理の後、2024年11月に裁判官はBitmainに有利な判決を下し、最終的にBitmainがBITMAIN商標およびANTMINER商標の正当な所有者であると宣言しました。Tilleke & Gibbinsは商業裁判所に対して、問題の商標がBitmainの商標と同一であり、悪意のある出願の前にさまざまな国で使用および登録されていたことを示し、現地企業が悪意で商標を出願したことを確認させるのに成功しました。商業裁判所はまた、現地企業のBITMAIN商標がBitmainの法人名と同一であると判断しました。

さらに、現地企業がこれらの商標を使用してBitmainの暗号通貨マイニングマシンANTMINERを販売しており、問題の商標が商業的に使用される意図で登録され、不正競争や消費者の欺瞞や誤認を招く可能性があったことを証明しました。これにより、消費者は現地企業がBitmainと提携していると誤認する可能性が高かった。

最後に、現地企業の悪意は、BITMAINおよびANTMINERがBitmainによって所有されていることを明示的に述べているウェブサイトによってさらに強調されました。結果として、裁判所はすべての商標を無効とし、商標登録簿から商標を削除するようインドネシア知的財産総局に命じました。

展望

インドネシアの先願主義制度は多くの課題に直面しており、商標の先取り者が当該制度を悪用する機会を生み出しています。Bitmain事件の結果は、インドネシアの知的財産制度にとって有望な展望を示しており、インドネシアが先願主義を採用しているにもかかわらず、その適用が絶対的ではないことを示唆しています。その一つが、悪意の出願は認められないというものです。

この成功にもかかわらず、いくつかの課題が残っています。取消訴訟は商業裁判所で審理される完全な訴訟であるため、手続遂行には時間と費用がかかります。それでも、本事件は商標登録における悪意のある意図に対処する重要性を強調し、法的システムが正当な商標所有者を不正行為から保護できることを示しています。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。

Indonesian Court Rules Against Bad-Faith Trademark Registrations

その他の情報 

10月 10, 2022
タイが最近麻薬のリストから大麻を削除したことは、同国にとって重要な変化であり、人事チームの中には、会社内で有害な事件が起きないようにするために、何らかの対策をすべきではないかと考えている場合もあるだろう。 例えば、出勤前に大麻を使用したため、勤務中に大麻の影響を受けている労働者がいたらどうだろう。以前は大麻が明確に禁止されており、使用者の敷地内で大麻を使用したり所持したりすると、労働者は懲役や罰金などの刑事責任を問われたため、このような問題はほとんど考慮されていなかった。しかし、政府が麻薬法に基づいて麻薬のリストから大麻を削除した今、そのようなことがより起こりやすくなっており、多くの使用者の間で、どうすればこのようなことを防止し、対処できるかという懸念が生じている。 会社の敷地は使用者の支配下にあるから、使用者には労働者が社内に大麻を持ち込むことを禁止する権限がある。特に、労働者が大麻を使用することは他の労働者を著しく妨害する可能性があるため、雇用主はこれを管理する権限を有する。しかし、労働者が禁止に違反した場合の罰則を設けたい場合は、そこまで単純にはいかない。   就業規則  労働者保護法(Labor Protection Act)では、10人以上の労働者を雇用する場合、タイ語の就業規則を定めなければならない。就業規則には、次の項目が含まれている必要がある。 労働日、所定労働時間及び休憩時間の指定。 休日・休日の取得の規則。 時間外労働及び休日労働に関する規則。 賃金の支払いの手配(支払日と支払場所)。 時間外賃金、休日賃金及び休日時間外賃金。 休暇及び休暇の取得の規則。 懲戒処分。 苦情の申出。 雇用の終了、解雇補償金及び特別解雇補償金。   就業規則(例えば、大麻関連のルールを導入するために)を作成又は変更する場合、使用者は次のことを行う必要がある。(なお以前は、労働者保護局長又はその指名する者に就業規則又は就業規則の変更書の写しを送付することが義務付けられていたが、2017年の労働者保護法改正でこれは撤廃された。) 就業規則を作成又は変更した日から15日以内に就業規則の実施を公表すること。 就業規則及びその変更を常時社内に保管すること。及び 就業規則・その修正を職場において公開していること。使用者は、就業規則又はその修正を電子的に公開することもできる。   しかし、労働者の雇用条件に影響を与えるような就業規則の変更には、より多くの意見を聞くことが必要である。労働関係法(Labor Relations Act)の下では、使用者は雇用条件を一方的に変更することはできない。 「雇用条件」という用語は、タイ法の下での広い概念であり、賃金、福利厚生、労働日数、労働時間等など雇用の条件であることが明確なものから、労働者の苦情の提出に関する規則、雇用の終了、懲戒処分、就業規則の改正、その他契約又は慣行により義務とされる職場の条件などの事項までを広く含む概念である。例えば、変動制のボーナスの基準は雇用条件とみなされ得るため、雇用者が書面においてそれを変更する権利を明示的に留保していない場合、これらの基準を使用者が一方的に変更することができない可能性がある。同様に、労働者に支給されるシャトルサービスなどの福利厚生も、雇用条件になりうる。 労働条件に影響を与える就業規則の変更をしようとする場合には、労働関係法に従い、労働者に対し要求を記載した通知書を交付して交渉するか、労働者の同意を得なければならない。ただし、就業規則に、使用者が将来就業規則を変更する権利を留保する旨の条項がある場合は、雇用条件に影響を与えない範囲での就業規則の変更をすることができる。例えば、就業規則に部署ごとの労働者数が記載されている場合などは、雇用条件の利益に影響を与えない範囲で変更することができる。 以上から、大麻に関する規則については、前述のとおり、使用者が社内で労働者が大麻を使用することを禁止することは可能だが、大麻を社内に持ち込んだ労働者を解雇するという規則を設けたい場合又はその他の罰則を科すとしたい場合には、雇用条件に影響があると考えられるため、使用者が一方的に行うことはできない。したがって、このような就業規則の改正を考える使用者は、労働関係法の手続きに従って、労働者に要求を記載した通知書を交付するか、労働者に同意を求めることによって、手続きを進めなければならない。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。Cannabis and Human Resources Considerations in Thailand
10月 3, 2022
2022年6月16日、ベトナム知的財産法の改正法が国会議員の95.58%の同意を得て最終的に成立した。本改正法は、知的財産の所有権と執行の両方について改正が行われたため、知的財産権者だけでなく法執行機関からも大きな注目を集めている。 特に、改正知的財産法の下で、ベトナムは、EVFTA(European Union – Vietnam Free Trade Agreement)やCPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)のような自国が締結している国際条約や協定を遵守するために音響商標を認める。音響商標を保護するには課題があるが、音響商標の採用によって、技術の発展期において知的財産権所有者に対して知的財産を保護するための1つの有用なタイプの保護を提供できることが期待されている。 著作権については、共同著作者の基準が明確化され、著作者数(2人以上)、著作者の貢献度、著作者の意図などの詳細が示されている。これらの基準は、英国や米国などの他国の法制度と類似している。共同著作者の定義は著作物の所有権を決める上で重要な役割を果たすため、この改正は共同著作物の所有権に関する争いが少なくなるというより良いシナリオを約束する。 国会は知的財産権侵害対策の一つとして行政罰を維持する。この点は、知的財産権を保護する方法として行政罰が記載されていなかった改正法の草案とは対照的である。行政罰が知的財産法から削除される点は多くの学者や弁護士から強い否定的な反論を受けていた。彼らは、実務的な観点から、民事訴訟の手続が行政罰の適用よりも時間と費用がかかることが多く、知的財産権所有者の権利保護を妨げると主張していた。さらに、知的財産権の侵害は、知的財産権所有者の法的利益に影響を及ぼすだけでなく、社会の発展や消費者の安全にも悪影響を及ぼす可能性がある。国会で修正されたことで、知的財産権所有者は、利用可能なすべての有効な保護手段を有しているという安心感を得ることができる。 改正知的財産権法は、ベトナムの知的財産における新時代を約束し、 2023年1月14日に施行される音響商標に関する規定並びに2024年1月14日に施行される農薬の試験データ保護に関する規定を除き、 2023年1月1日に施行される。
10月 3, 2022
テクノロジーやインターネットの普及に伴い、消費者はますますオンラインショッピングに移行している。電子商取引プラットフォームは、国境を越えた商品の有用かつ実用的なオンライン取引を生み出した。電子商取引プラットフォームの販売業者数も近年大幅に増加している。当然のことながら、オンラインでの商品の供給量が多いほど、オンライン上での知的財産権侵害のリスクが高くなる。これにより、多くの人にとって買い物がより身近で便利になった一方で、悪徳販売業者にとっても大きなチャンスが生まれた。これらの悪徳販売業者は匿名であることが多く、身元を特定したり責任を追及したりすることが困難な場合がある。その結果、一部の知的財産権所有者は電子商取引プラットフォームに責任を負わせようとしており、電子商取引プラットフォームがユーザーによって提供されたコンテンツに対してどのような法的責任を負うのかという疑問が生じている。 2022年3月、中央知的所有権国際貿易裁判所(以下、「IP&IT裁判所」という)は、電子商取引プラットフォームが、そのプラットフォーム上での第三者による知的財産権侵害の申立てに対して責任を負わないという画期的な判決を下した。   [1] 寄与侵害 知的財産権は、侵害製品を販売または製造する者によって直接侵害されることもあれば、侵害行為を助長または侵害行為に寄与する者によって間接的に侵害されることもある。現在、タイの知的財産関連の法律には、電子商取引プラットフォームによる寄与侵害に関する明確な規定はなく、最近までこの問題に関する明確な判決はなかった。 タイにおける当該分野において最近の進展の一つは、2022年8月23日に施行される著作権法(第5号) B.E.2565 (2022)が挙げられる。本著作権法は、インターネットサービスプロバイダがユーザーによって提供された著作権を侵害するものに責任を負わない旨を規定している。しかしながら、現在のところ、特許、商標、その他の知的財産権に関して同様の規定は存在しない。 頻繁に適用される法律は民商法典第432条であり、これは不法行為を教唆または援助した者は共同行為者とみなされ、共同して損害を賠償する義務を負うと規定している。 しかしながら、法は、寄与侵害の基準が電子商取引プラットフォームにどのように適用されるべきかについて、明確に述べていない。 以上を踏まえ、2022年3月、IP&IT裁判所は、間接的知的財産権侵害に対する電子商取引プラットフォームの責任の問題について、初の判決を下した。   [2] 電子商取引プラットフォームは知的財産権を侵害する商品の販売に対して責任を負うのか? 2017年6月、タイ企業が原告として、中国最大の国際オンラインマーケットであるAlibaba.comとAlibabaグループ傘下の世界的な小売マーケットであるAliExpress.comで販売され、特許権を侵害する消火用ボールの出品物について、Hangzhou Alibaba Advertising Co., Ltd.(以下、Alibabaという)に対して特許権侵害訴訟を提訴した。この訴訟は、電子商取引プラットフォームに対する否定的なメディア報道をもたらした。 Alibabaは、自社のプラットフォームで販売されている商品が原告の特許権を侵害していると主張されていることを知らなかったし、また知る余地もなかったと主張した。その結果、被告は原告の特許権を侵害する責任を負うことができなかった。 購入者はまず、被告のウェブサイトから商品を注文するためのアカウントを登録しなければならない。アカウントを登録する際、購入者は契約を結び、購入者に生じたいかなる損害についても販売業者が責任を負うことを明記する。AliExpress.comのウェブサイトから消火用ボールを購入する原告は、Alibabaのプラットフォームのユーザーとして、この契約に拘束される。したがって、原告の主張は電子商取引プラットフォームではなく販売業者に対して行われるべきであった。 Alibaba.comとAliexpress.comに独立して商品リストを掲載し、販売を申し出たのは、販売業者であった。Alibaba自身は係争中の商品を掲載しておらず、プラットフォーム上でオンラインでの商品販売を管理する能力も持っていなかった。さらに、Alibabaは、消火用ボールが原告の特許権を侵害していることを知らなかったし、また知る余地もなかった。また、侵害に対抗するため、Alibabaは強固なnotice-and-takedown システムも有し、noticeを受けとると掲載されている侵害商品を削除することができる。 2022年3月24日、IP&IT裁判所は被告に有利な判決を下し、Alibabaはウェブサイト上で商品を売買するサービスを提供するオンラインプラットフォームに過ぎず、被告は原告の特許権を侵害していないと結論付けた。   [3] 所見 これは、IP&IT裁判所が間接的知的財産権侵害に対する電子商取引プラットフォームの責任を扱った初めての事件であり、画期的な事件である。特に注目すべきは、裁判所が適用した理由である。裁判所は、国際基準を反映した基準を使用し、電子商取引プラットフォームの実際の知的財産権侵害に関する知識、知的財産権侵害から金銭的利益を得た者、そして電子商取引プラットフォームが侵害行為を制御する能力を考慮した。本判決はまた、裁判所が電子商取引プラットフォームが実際にどのように運用されているのか?、そして、プラットフォーム上の知的財産権侵害の疑いのある疑義品を管理する能力をも検討することを示している。 電子商取引やオンラインショッピングが成長を続けるにつれ、プラットフォームに対する知的財産権侵害の申立ても増えている。本判決は、これらの問題に影響をあたえる可能性があるものである。
10月 3, 2022
特許は、2022年6月16日にベトナム国民議会で可決され、2023年1月1日に発効する改正知的財産法(以下、「 改正IP法」という)の主要部分である(ただし、2024年1月14日に延期される予定の農薬品の実験データの保護に関する規定を除く)。 改正IP法の改正・補足内容としては、発明の新規性の評価に関する第60条、そして、特許保護証書の無効理由に関する第96条に、注目される特許関連の改正がある。これらの改正点について、以下に説明する。   [1] 第60条第1項に基づく先行技術 発明の新規性に関する改正IP法第60条第1項の重要な改正は、発明が新規性を喪失したとみなすことができる範囲を拡大することである。 ベトナムで初めて、 「秘密の先行技術」、すなわち、出願日または優先日が先の特許出願であるが、審査されている特許出願の出願日または優先日以降に公開された特許出願が、先行技術文献として導入されている。   上図では、A 2の出願時に、秘密の先行技術A 1が出願されているが、まだ公開されておらず、公衆が秘密の先行技術A1にアクセスすることができない。この時点では、A 1出願人とベトナム国家知的財産庁のみがA 1の出願を認識できる。 2009年および2019年に改正された2005年IP法の規定では、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価する際に先行技術文献とはならない。しかしながら、先願主義 および優先権の原 則に基づき、A1特許出願が存在する場合には、A2特許出願の特許性を否定するための他のアプローチが知的財産庁には存在していた。 改正IP法第60条第1項 (b) の規定を補足することにより、A 1特許出願は、A 2の新規性を評価するための 「秘密の先行技術」 と公式にみなすことができる。その結果、本改正は、「秘密の先行技術」 を用いて新規性を評価するための、より合法的で直接的かつ包括的なツールを提供する。 改正後の第60条第1項の規定から、「A 1とA 2の出願人が異なる場合に限定されるか(国によっては、A 1とA 2の出願人が同一の場合には、秘密の先行技術には適用されない)」、また、「外国で出願され、まだ公開されていない特許がベトナムにおいて秘密の先行技術とはみなされないかという「国内限定」 の有無」など、あいまいな点がまだある。改正IP法の施行後は、これらのあいまいな点を明確にするために、多くのガイダンスが発表される可能性が高い。 最後に、「秘密の先行技術」 の使用に関する規定は、発明の新規性の評価にのみ適用され、進歩性の規定には適用されない。   [2] 第96条に基づく新たな特許無効理由 第96条 が改正され、特許無効理由が追加された。現在の2つの理由は、 (i) 出願人がその発明を登録する権利を有さず、またはその権利を譲渡されてもいない場合、 (ii) 発明の主題が保護条件を満たしていなかった場合、である。改正IP法は、以下の規定を追加している。 (iii) 特許は、次の場合にはその全部が無効となる。 特許出願が安全保障に関する管理措置に違反して出願された場合、又は 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識から直接創作された発明について、登録出願の願書にその遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識の由来を開示していない、又は正確に開示していない場合 (iv) 次の場合には、特許の全部又は一部が無効となる。 補正が、開示された主題の範囲を拡大し、又は出願において主題の性質を変更する場合 明細書において発明が十分かつ明確に開示されていない場合 特許発明が当初明細書における開示の範囲を超える場合 発明が先願主義を遵守していない場合 実際には、多くの無効審判官が過去に特許無効の請求においてこれらの理由を引用しているが、我々の知る限り、知的財産庁は特許を無効とするいかなる審決においても、これらの事実的根拠を未だ使用していない。ベトナムでこれらの理由が法律で成文化されたのはこれが初めてであり、無効の請求で今後頻繁に使用される可能性がある。 安全保障に関する管理措置の規定に違反して出願された発明の非保護は、現行規則に記載されている。しかしながら、安全保障に関する管理措置の対象として「ベトナムの組織及び個人の発明」 及び 「ベトナムで創作された発明」の特定などの、依然としていくつかの不明確で議論の余地がある点がみられる。 改正IP法は、安全保障に関する管理措置に関する規定を、特許出願が本規定に違反して出願された場合に特許を無効とする理由としており、また、上記の曖昧な用語を、 「国防及び安全保障に影響を及ぼす技術分野における発明であって、ベトナムにおいて創作され、かつ、その登録する権利がベトナムに在住するベトナム人又はベトナム法に基づき設立された法人に属するもの」 とより明確な用語に置き換えている。 しかしながら、「ベトナムで部分的に創作された発明」、「ベトナム法人と外国法人とによって共同で所有される発明」、「ベトナムで創作されたが、ベトナム法人の登録する権利が出願前に外国法人に譲渡された発明」などの事例に対応するためには、より具体的なガイドラインがまだ必要である。 遺伝資源および遺伝資源に関連する伝統的知識の保護は、生物多様性に関する法律No.20/2008/QH 12 (法律No.35/2018/QH 14により改正)で規定されている。特許出願における遺伝資源又は遺伝資源に関する伝統的知識の開示に関する規制の導入は、そのような資源を利用して新たな技術的解決策を生み出す傾向に沿ったものである。この規定は、生物多様性に関する法律に定めるものに加え、当該遺伝資源の損失を回避するための措置を追加するものである。 新しい概念ではないが、現行の知的財産法では、特許出願における遺伝資源の開示や伝統的な遺伝資源の知識に関する規定は全く言及されていない。したがって、明細書に開示すべき情報、この理由に基づく特許無効手続における開示情報の評価方法等について、具体的な指針が必要である。 特許出願の審査において要件として言及されているが、開示、特許明細書の補正又は先願主義に関する理由が知的財産法の特許無効理由として認められたことはない。これらの無効理由を改正IP法に盛り込むことは全く合理的である。しかしながら、 「それぞれの技術分野の当業者」 を定義する手続や権限など、いくつかの部分は不明なままである。   [3] 結論 我々の意見では、実務家から多くのフィードバックを受けた改正IP法は、ベトナムの知的財産環境に必要かつ合理的な多くの変更を導入した進歩的なものである。しかしながら、これらの新しい特許に関する条項をどのように理解し実施するかについて、より明確にし、専門的な助言を必要とするいくつかの曖昧さがある。