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7月 4, 2025

ベトナムにおけるオンラインIPエンフォースメント:サイト・ブロッキングおよびキーワード・ブロッキングの活用

Managing Intellectual Property

知的財産の管理

ベトナムの活況を呈しているデジタル経済の成長は大きな可能性を秘めている一方で、オンライン上の知的財産権侵害という根深い問題を引き起こしている。知的財産権者が直面する問題は、デジタルサービス(ストリーミングサイトやトレントサイト(torrent site)など)における著作権侵害から、電子商取引サイトやソーシャルプラットフォームを通じた模倣品の販売、そして商標の誤った使用による権利の濫用まで、多岐に渡っている。これらの侵害は利益を圧迫するだけでなく、ブランドの評判を損ない、消費者に誤解を招いている。そのため、サイト・ブロッキングとキーワード・ブロッキングは、ベトナムで利用可能な権利行使ツールとしてますます重要な要素となっている。

ブロッキング行為に関する法的枠組み

ベトナムにおけるサイト・ブロッキングおよびキーワード・ブロッキングは、特に2022年の知的財産法改正以降、法的枠組みの拡充によって支えられている。それ以前は、ブロッキングの法的根拠は複数の法律に分散しており、インターネットサービスプロバイダー(ISPs: internet service providers)は、当局からの正式な要請があった場合にのみ、著作権侵害コンテンツへのアクセスをブロックする義務を負っていた。

改正知的財産法における第198b条の導入は、著作権者がサイトブロッキングを直接申請するためのより明確な仕組みを確立し、大きな転換点となった。本規定により、インターネットサービスプロバイダーは有効な削除申請またはブロッキング申請に応じる義務を負う。

知的財産法に加え、情報技術法(Law on Information Technology)、サイバーセキュリティ法(Law on Cybersecurity)、広告法(Law on Advertising)、そして様々な政令などの重要な法律がある。これらの法令は、ベトナムにおけるブロッキング行為のための、より体系的かつ執行可能な根拠を提供しているが、実際のエンフォースメントは依然としてインターネットサービスプロバイダーの協力と侵害証拠の明確さに依存している。

管轄当局

これまで、権利者は科学技術省、文化スポーツ観光省、またはベトナム電子商取引・デジタル経済庁( iDEA: Vietnam E-Commerce and Digital Economy Agency)傘下の専門検査機関を通じて行政措置を講じることができた。しかしながら、最近の政府再編により、これらの機関は解散し、その機能は政府検査機関に移行した。これにより、近い将来、執行スケジュールに影響が出る可能性がある。ブロッキング命令を含む民事紛争は人民裁判所で扱われ、刑事事件は警察に移管される。

ブロッキングメカニズムの実践的理解

これらの措置を効果的に展開するには、権利者はその実際的な適用方法を把握する必要がある。サイト・ブロッキングは直接的な封鎖であり、ベトナム在住のインターネットユーザーが、著作権侵害コンテンツをホストしているとみなされる特定のウェブサイトにアクセスできないようにする。インターネットサービスプロバイダーは通常、有効な申請または命令を受けて、これらのブロッキングを主に実施する。インターネットサービスプロバイダーは、DNSブロッキング(ウェブサイト名がIPアドレスに対応づけられるのを防ぐ)、IPアドレス直接ブロッキング、著作権侵害コンテンツを含むことが知られている特定URLのフィルタリングなどの技術的な手法を用いる。その目的は、国内から侵害の発生源へのアクセスを遮断することにある。

キーワード・ブロッキングは、著作権侵害コンテンツや製品の発見可能性をターゲットとしている。そのロジックは、たとえ著作権侵害サイトが存在したとしても、ユーザーがそのサイトを見つけにくくすることで、その影響を大幅に軽減できるというものである。これには、Google、Bing、あるいはローカル検索エンジンであるCốc Cốcなどの検索エンジンに対し、関連キーワードの検索結果から著作権侵害コンテンツへのリンクを削除またはランキングを下げるよう要請するといった積極的な措置が含まれる。また、Google Ads、YouTube、Facebook、TikTokなどのオンライン広告プラットフォームと連携し、ユーザーが特定のキーワードを検索した際、あるいは特定のキーワードを対象にした際に、模倣品や海賊版の広告が表示されないようにすることも含まれる。本アプローチは、消費者の検索と著作権侵害を伴うオンラインオファーとの関連性を効果的に断ち切るのに役立つ。

実務的なステップ

ブロッキング措置の実施には、体系的かつ実務的なアプローチが必要である。プロセスは通常、侵害行為の特定および文書化から始まる。執行官(bailiff)による記録の実施や、必要に応じてテスト購入を行うなど、強固な証拠の構築および保管が、その後のエンフォースメント措置を裏付ける上で不可欠である。

確固たる証拠を保有する権利者は、最も適切な手段を選択する必要がある。この決定は、侵害の深刻さ、対応の緊急性、利用可能なリソースなど、多くの要因に左右される。一つの選択肢として、インターネットサービスプロバイダーの内部報告制度を利用して、削除通知を直接提出することが挙げられる。このアプローチは、明らかな違反に対しては迅速な結果をもたらす。しかしながら、その効果はインターネットサービスプロバイダーの協力に大きく依存し、その協力は必ずしも一定ではない。侵害が議論の余地がある、または正式な判決なしには評価できないほど複雑すぎる場合、インターネットサービスプロバイダーは対応を拒否することがある。このような場合、インターネットサービスプロバイダーは通常、当事者に対し、適切な機関を通じて解決を図るよう助言する。

あるいは、権利者は関係機関に行政上の申し立てることもできます。これは訴訟よりも効率的かつ費用対効果が高い場合が多いが、検査機関の再編が進行中のため遅延が生じる可能性がある。電子商取引における侵害については、 iDEAに申し立てることができる。

民事訴訟は、多額の損害賠償や差止命令を伴う訴訟に適しているが、大規模な模倣などの重大な犯罪には刑事訴訟が不可欠である。しかしながら、どちらの手段も時間とリソースを大量に消費するため、重大な侵害行為にのみ適用するのが最善である。

エンフォースメント・ルートに関係なく、プロセスには通常、次の内容が含まれる。

  • 書類の準備:知的財産権の所有権、侵害の証拠、法的権限(委任状など)の証拠を揃える。必要な書類はインターネットサービスプロバイダーまたは機関によって異なる場合がある。
  • 提出: 完成した書類を適切な機関に提出する。
  • 審査および対応:機関が方式審査を行っている間、インターネットサービスプロバイダーは申し立てが明確であれば迅速に行動を起こす場合がある。侵害が確認された場合、インターネットサービスプロバイダーは制裁を科したり、コンテンツの削除を命じたりする場合がある。

エンフォースメント後も、違反が繰り返される危険性が高いため、継続的な市場監視が不可欠である。

最後に

サイト・ブロッキングおよびキーワード・ブロッキングには課題がないわけではない。侵害者はVPN、ドメイン・ホッピング、キーワード操作、匿名性といった方策を用いてエンフォースメントを逃れることが多いからである。しかしながら、デジタル化が進むベトナムの市場において、知的財産権を保護するために不可欠なツールであることに変わりはない。これらは、侵害コンテンツへのアクセスと可視性を制限するための具体的なメカニズムを提供している。サイト・ブロッキングとキーワード・ブロッキングは、プラットフォームへの働きかけ、行政措置、そして必要に応じて訴訟といった手段を補完する、より広範なエンフォースメント戦略の重要な要素と捉えるべきであえる。侵害者の方策は進化し続けるため、成功には粘り強さ、適応力、そして積極的なアプローチが不可欠である。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。

Online IP Enforcement in Vietnam: Utilizing Site and Keyword Blocking

その他の情報 

11月 27, 2025
訴訟は通常、紛争解決における最終手段です。紛争当事者の多くは、相手方との関係性の悪化や高額な費用、紛争の長期化等を懸念し、訴訟を回避しようとします。こうした懸念の一部は確かに正当なものかもしれませんが、時には訴訟が当事者が救済を得る唯一の手段となる場合もあります。救済手段を検討している当事者にとって、タイの裁判所制度が一般的にアクセスしやすく、公平かつバランスの取れた紛争解決の手段であることを知っておくことは有益です。
8月 29, 2025
国際商標登録のためのマドリッド協定議定書制度は、単一の出願で複数国に商標を登録できる、簡素化された費用対効果の高い方法を提供している。インドネシアは2018年にマドリッド協定議定書制度に加盟し、2024年だけでも本制度を通じて8,600件以上の出願があった。本制度は効果的であるが、商標権者は登録手続中に発生する可能性のある拒絶リスクを認識することが重要である。商標出願人は、インドネシアを指定する際、これらの重要な点に細心の注意を払う必要がある。 応答のための現地代理人の任命 暫定拒絶通報を受けた国際登録出願の出願人または代理人は、暫定拒絶通報に対する応答するために、インドネシアの現地代理人を任命しなければならない。任命は、インドネシアにおける暫定拒絶通報への応答のみを目的としており、国際登録出願が暫定拒絶通報を受けていない場合は不要である。また、現地代理人はWIPOに登録しないことである。登録した場合、すべての指定国における代理人の登録に影響を及ぼすからである。 応答期間 暫定拒絶通報への応答期限の計算方法に関して、DGIPとWIPOの計算方法には相違がある。インドネシア商標法では、商標権者は週末と祝日を除く30営業日以内に応答可能である。しかしながら、 DGIPの暫定拒絶通報に添付されるWIPOのカバーレターには、暫定拒絶通報への応答開始日および応答期限の両方が記載されており、週末と祝日を含む30暦日として計算されている。したがって、この問題を回避するために、国際登録に関する暫定拒絶通報への応答は、WIPOのカバーレターに従って提出する必要がある。 拒絶理由 インドネシア商標公報に国際登録出願が掲載された後、知的財産権総局(DGIP: Directorate General of Intellectual Property)の審査官による実体審査が行われる。商標は主に、絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に基づいて審査される。 国際出願は通常、相対的拒絶理由、具体的にはインドネシアで先登録されている商標との類似性に基づいて拒絶される。潜在的なリスクを軽減し、効果的な戦略を策定するために、出願前に対象国で商標調査を実施することを提案する。 拒絶理由の解消 引用商標のステータスを確認することは、拒絶理由を解消するための戦略を決定する上で重要である。以下に、拒絶理由を解消するためのいくつかの戦略を示す。 回答の提出 拒絶理由に対する応答は、商品の外観、発音、概念、性質の違いに基づく意見書を提出することにより可能である。 抵触する区分の削除 複数区分出願において、1つの区分が拒絶されている場合、出願された全ての区分の審査が遅れる可能性がある。拒絶が出願全体ではなく特定の区分にのみ影響する場合、商標出願人は、抵触しない区分の登録手続を進めるために、拒絶された区分を削除することを検討する場合がある。 同意書(Letter of consent)または商標譲渡 DGIPは、出願人に対し、同意の証拠を提出して出願を裏付けることを推奨している。したがって、引用商標の所有者に連絡を取り、両商標の共同登録を認める同意書を取得することは、審査官の裁量により拒絶を回避できる選択肢となる可能性がある。同一企業グループ内の企業が所有する先登録商標との類似性により国際登録出願が拒絶された場合、商標所有者は、引用商標の所有権を譲渡するための譲渡記録を提出し、両商標を同一の所有者に帰属させることも可能である。 商標出願の補正および再出願 識別力を有する要素を追加したり、特定の商品を削除して、商標出願を再出願することは、引用商標との類似性を排除する効果的な戦略となり得る。引用商標の有効期限が近づいている場合、商標権者はその状況を監視することを検討すべきである。商標が更新されない場合は、国内ルートで出願を再出願することが現実的な選択肢となる場合がある。あるいは、インドネシアの領域指定を放棄し、新たにインドネシアの事後指定を申請することも可能である。 訴訟 商標所有者は、最後の手段として、引用商標に対して訴訟を起こすことができる。訴訟には、不使用取消や、類似性または悪意に基づく取消訴訟の訴訟の提起が含まれる。これらの訴訟は、インドネシア商事裁判所が管轄している。 応答に関する審査プロセス 応答が認容されると、DGIPの審査官は約3~6月以内に再審査を行う。この期間は審査官の作業量によって変動する場合がある。応答により拒絶理由が解消すると、出願は登録段階に進み、DGIPはWIPOを通じて登録代理人に直接、保護認容声明を発行する。 応答が棄却が却下された場合、DGIPの審査官は現地代理人および登録代理人に対し、拒絶の決定を発行する。出願人は、通知日から90営業日以内に商標審判委員会に審判を請求することができる。審判が請求されない場合、出願人は拒絶の決定を受諾したものとみなされる。審判が請求された場合、商標審判委員会は約4~6月以内に審理を行う。 結論 マドリッド協定の議定書制度を利用してインドネシアで商標登録手続を進めることは容易ではないが、適切な戦略と現地の専門知識があれば、問題なく対応できる。拒絶理由を理解し、それを克服するための様々な選択肢を検討することで、商標所有者は登録の可能性を大幅に高めることができる。スムーズで効率的な登録プロセスを確保するには、現地の弁護士に相談し、最新の動向を常に把握することが不可欠である。商標出願はそれぞれ異なるため、インドネシアでビジネス目標を達成するには、個々の状況に合わせたアプローチが鍵となる。   ご質問等があれば、Karenina Aulia ([email protected])、Wongrat Ratanaprayul ([email protected])までお問合せください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Responding to Refusal of an International Trademark Registration in Indonesia
8月 25, 2025
ベトナム政府は2025年上半期に、知的財産制度に大きな影響を及ぼす包括的な一連の法改正を実施した。これらの改正は、刑事、民事、行政、司法の各分野にまたがり、その大半が2025年7月1日に施行された。これらの改正は、ベトナムの法基盤の近代化、エンフォースメント・メカニズムの強化、そして国内規制と国際基準の調和を目指す広範な取り組みの一環である。 主要な法改正の概要と、それらがベトナムにおける知的財産の保護およびエンフォースメントに及ぼす潜在的な影響について、以下に説明する。 [1] 刑法(Criminal Code):より厳しい罰則 2025年改正ベトナム刑法に基づき、模倣品の製造および取引に関する犯罪に対する罰則が大幅に強化された。個人が有罪判決を受けた場合、罰金は2億ドンから20億ドン(約7,700米ドルから77,000米ドル、従来の1億ドンから10億ドン)に引き上げられた。法人の場合はさらに厳しくなり、罰金は20億ドンから400億ドン(約77,000米ドルから154万米ドル、従来の10億ドンから200億ドン)に引き上げられた。これらの罰則強化は、模倣関連犯罪の抑止と消費者の権利保護に向けた政府の取り組み強化を反映している。 [2] 行政違反処罰法(Law on Handling Administrative Violations):時効の延長と電子手続の適用 知的財産分野における行政違反への対処の時効は引き続き2年である。しかしながら、行政機関から当該違反が指摘された場合、この期間は1年延長される。当該機関による事件の処理に要した時間も、全体の時効期間に含まれる。 さらに、行政違反処罰法は、必要なインフラ、技術システム、情報環境が整備されていることを条件として、電子手続の利用を促進している。具体的には、エンフォースメント機関は、違反者に対し、電子メール、オンラインプラットフォーム、SMSなどのデジタル手段を通じて、決定事項、記録、関連文書を送付することが認められている。これらの技術の導入により、手続の効率が向上し、行政ワークフローが合理化されることが期待される。 [3] 人民裁判所組織法:専門裁判所と管轄権 2025年改正では、省レベルと地方レベルの両方に専門裁判所を設立することが求められ、知的財産権および技術移転紛争を扱う専門部署も設置された。Resolution No.81/2025/UBTVQH15に基づき、ハノイとホーチミン・シティにそれぞれ1つずつ、2つの専門知的財産裁判所が設置された。ハノイ知的財産裁判所は、北部および中部の20の省・市で発生した知的財産紛争の第一審管轄権を有し、ホーチミン・シティ知的財産裁判所は、残りの14の省・市で発生した事件を管轄する。これらの専門知的財産裁判所への控訴は、関連する省級裁判所で審理される。 省級裁判所は、2025年7月1日より前に提起され正式に受理された知的財産紛争について、引き続き第一審管轄権を有する。一方、2025年7月1日より前に地方裁判所で提起され受理された知的財産訴訟は、新たに設立される2つの専門知的財産裁判所のいずれかに移管される。 さらに、最高人民法院判事評議会のResolution No. 01/2025/NQ-HDTPは、係争中の事件の管理に関するガイドラインを示し、裁判所の各階層間の権限を明確にしている。 [4] 監査法(Law on Inspection):検査官レベルの簡素化 科学技術省、文化・スポーツ・観光省、市・省レベルの科学技術局など、各省庁や部門機関の下でこれまで運営されていた検査機関は正式に解散されました。改正監査法に基づき、検査体制は政府検査機関と省検査機関の2つの中核機関に集約された。しかしながら、2025年7月1日の施行時点では、法の規定を実際のエンフォースメントに反映させ、手続の明確化を図るために不可欠な実施ガイドラインが依然として不足していた。 [5] その他の重要な進展 商標権を侵害する会社の名称:政令第168/2025/ND-CPに基づき、商標権を侵害する会社の名称への対応を迅速化するため、事業登録制度が簡素化された。当局による審査期間は10日からわずか3日に大幅に短縮され、侵害が判明した企業は60日以内に社名変更手続を完了しなければならず、完了しない場合は行政罰が科せられる。この改革により、知的財産権保有者はブランドの不正使用に迅速かつ効果的に対抗できるようになる。 電子商取引プラットフォームへの対策:政令第117/2025/ND-CPに基づく規制では、税務管理の厳格化に加え、電子商取引事業者に対し、完全かつ検証可能な個人識別番号または納税者番号の提供を義務付けている。プラットフォームは、管轄当局の要請に応じてこれらのデータを提供することが義務付けられており、これにより、オンライン上の知的財産権侵害に対する捜査およびエンフォースメントの手続の効率が向上する。 安全でない医薬品の定義と取扱い:保健省の通達第30/2025/TT-BYTは、安全でない医薬品の定義を導入している。これには、模倣、規格外、または出所が疑わしい医薬品に関する新たな規定、安全でない医薬品に関する明確な報告メカニズム、およびそれらの流通に関与する団体の調査と処罰に関する手順が含まれている。 広告法から知的財産権侵害条項を削除:改正広告法では、知的財産権規制に違反する広告に関する規定が廃止された。国会議員の意見により、知的財産権法において既にあらゆる知的財産権侵害行為が禁止されているため、別途規定を設ける必要はないと判断された。 [6] 結言 ベトナムの2025年法改正は、知的財産権のエンフォースメントの近代化に向けた戦略的な飛躍であり、ベトナムにおける知的財産権のエンフォースメント体制の大胆かつ戦略的な再編を象徴するものである。専門知的財産裁判所の導入、より厳格な罰則、デジタル化されたワークフロー、そして合理化された検査プロセスにより、知的財産権の環境はより透明性とアクセス性を高め、強力な抑止力を持つことが期待される。これらの動向は、国際的なベストプラクティスと国際貿易協定に基づく義務に沿って、ベトナムが知的財産権制度を強化するというコミットメントを強調するものである。   本記事に関するご質問などは、Ms. Thuy Thi Ngoc Huynhまでお問合せください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Major Legal Changes Impacting Vietnam’s IP Regime: 2025 Legislative Updates
8月 21, 2025
タイ商標法において、識別性は商標登録および商標の保護における基本的要件である。タイの裁判所では、商標の使用ではなく、商標固有の特性に基づいて識別性を評価するのが一般的である。これは、使用を通じて獲得された識別性を証明するには、使用期間、流通範囲、宣伝広告活動など、実質的な証拠が必要となるためである。 しかしながら、知的財産・国際貿易裁判所(IP & IT裁判所)は最近、図形商標「weplay」が使用を通じて識別性を獲得したとの判決を下した。これはタイ商標法では異例の判決である。その後、特別控訴裁判所(Court of Appeal for Specialised Cases)は、商標の構成要素を総合的に評価した結果、商標の固有の識別性を認めた。 本記事では、固有の識別性と獲得された識別性の両方を証明するための基準について説明し、両方の裁判所の事例を示して、訴訟の準備と裁判所が識別性を評価する方法の理解に役立つ貴重な洞察を提供する。 [1] 背景 2017年、原告は、玩具ブロックを含む第28類の商品について、以下に示す商標について商標出願を行った。 登録官は、商標法第7条に基づき識別力がないという理由で出願を拒絶した。原告は商標委員会に審判請求し、商標委員会は、「 weplay 」という用語が第28類の商品に使用されている場合、「遊具」という出願された商品の性質を記述していると判断した。したがって、「 weplay 」は商標法第7条第2項(2)に基づき識別性がないと判断された。 [2] 知的財産・国際貿易裁判所の判決 2024年、知的財産・国際貿易裁判所は、「weplay 」という用語は造語ではなく、「we」と「play」を組み合わせたもので、「私たちは遊ぶ」という意味を伝えるものであるとの判決を下した。この用語が第28類の商品に使用されている場合、その商品の性質が「遊び道具」であることを説明していることになる。したがって、出願商標を識別力がないと判断した。 しかしながら、裁判所は原告が提出した証拠を検討したところ、原告はタイで10年以上にわたり当該製品を販売していたことが示されていた。請求書、オンラインおよび印刷カタログ広告、その他の文書を含むこれらの証拠は、タイにおいて10年以上にわたる広範な製品流通および広告と並行して、商標が継続的に使用されていたことを裏付けていた。当該証拠により、当該商標が付された商品が広く販売、流通、および広告されていたことが決定的に立証された。したがって、当該商標は、商標法第7条第3項に基づき、継続的な使用を通じて識別性を獲得したと判断された。こうして、第一審裁判所である知的財産・国際貿易裁判所は、当該商標は登録されるべきである旨の判決を下した。 その後、両当事者は控訴した。 [3] 控訴決定 2025年2月26日、特別控訴裁判所は、問題の商標が次の2つの重要な要素から構成されていると認定した。 単語「weplay」 珍しい色の組合せを有する丸みのある形をした図形 「weplay」という用語は記述的というより暗示的であり、消費者により商品と関連付けるには解釈が必要となると判断された。図形要素と組み合わせることで、商標全体として、消費者が商品を認定し識別することができる識別性を有する。したがって、本商標は、商標法第7条第1項及び第2項(8)に定める識別力の基準を満たしている。 したがって、特別控訴裁判所は、出願商標は本質的に識別力があるという結論を下した。 [4] コメント この事例は、タイの裁判所が包括的なアプローチを採用し、商標の識別性を評価するためのより動的な枠組みの構築に貢献していることを浮き彫りにしている。また、使用を通じて獲得された識別性を考慮する傾向が高まっていることを示しており、商標訴訟においてより柔軟な要素となっている。   本記事についてのご質問などは、Mr.Nuttaphol Arammuangまでお問合せください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Thai Court Finds Acquired Trademark Distinctiveness through Use in Rare Decision