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9月 6, 2022

タイ、法廷での証人尋問の録画の利用拡大を検討

タイの現在の裁判手続の特徴的な要素の一つは、証人の法廷証言の記録を作成する方法にある。タイ裁判所で用いられる典型的な方法は、裁判所の速記官が逐語的記録を作成するのではなく、裁判官が証人の法廷陳述の要約を述べることである。すなわち、現在の方法は、事実審裁判官が、当事者の質問に対する証人の回答を聞いた後、裁判官自身の理解に基づいて、証人の答えを要約したものをレコーダーに録音し、裁判所書記官がそれを文字に起こして読みあげ、すべての当事者と証人が内容の正確性を確認するというものである。

しかし、タイ政府は現在、証人の証言を録画することによって、この方法を変えることを検討している。

タイでは、中央知的財産・国際貿易裁判所や中央破産裁判所で扱われているいくつかの裁判で、証人の証言のビデオ録画が導入されていた。しかし、2021年10月の規則において特定の重要事件や証人の動きが証言の重要な要素となる場合にビデオ録画の使用が認められるまで、一般的な刑事事件や民事事件では証人の証言のビデオ録画は行われていなかった。同規則の発効以降、被告人の犯行時の動きを供述する目撃者の証言など、証言中の動きが裁判所の判断の重要な要素となるいくつかの刑事事件では、証人の証言のビデオが録画された。

これまでのところ、このビデオ録画の方法がとられたのはごく少数の事件ではあるが、この実務が実行可能であることが分かり、準備も整ったため、タイは、バンコクの刑事事件を皮切りに、すべての裁判でビデオ録画を活用することを検討している。

証人の供述をビデオに記録することは、裁判官が証言について、証人の正確な言葉や身振りを含めて検討することができるため、特に証人の信頼性を評価するうえで役立つと考えられる。さらに、当事者は、裁判官が証人の答弁を要約し、裁判所書記官がそれを書き写すのを待つ必要がなくなるため、証言手続にかかる時間を短縮できる。ただしその代わり、証人の証言は法廷内の複数のカメラで録画されることになる。

しかし、この新しい方法の欠点の1つは、録画と証言記録が当事者に提供されないことである。当事者は裁判所の施設(利用可能な視聴装置は限られている)で録画の閲覧を求めることしかできない。当事者は(裁判所の裁量で)証言に関する裁判所のメモを入手することもできるが、このメモ自体を証人の証言として引用することはできない。また、当事者が、裁判所に証人の証言を検討してもらいたい場合、当事

者は証言の録画のタイムスタンプを引用しなければならないため、証言を引用する弁論(例えば、最終準備書面、不服申立書等)の準備に影響を及ぼす。さらに当事者の弁護士は、証人の発言を記録するためのスタッフを連れてくる必要が生じ、より手間と費用がかかることになる。

証人の証言を録画するこの新しい方法は、(当事者が同意すれば)ラチャダ刑事裁判所のいくつかの法廷で最初に試験的なプロジェクトとして行われることが予定されている。この新しい方法がうまくいけば、タイ最高裁判所長官は、証人の証言を記録する現在の方法を取り消し、この新しい証言のビデオ録画の方法を広範に実施できるような別の規則を発行すると思われる。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。Thailand Considers Expanding Use of Video to Record Witnesses’ Courtroom Testimony

その他の情報 

6月 11, 2024
タイの法律、具体的には刑事訴訟法の下では、被害者は、検察官が事件を起訴することなく刑事裁判所に刑事事件を提起することができます。裁判所が事件の調査を行った後、裁判所は、さらなる審理のために事件を受理するか否かを検討し、審理結果に応じて被告を罰するべきかどうかを決定します。労働紛争や株主紛争など、特定の種類の事件に関与する民間当事者は、これを訴追するための共通のチャネルと考えるかもしれません。 タイの刑法は、新しい法律が多くの刑事犯罪をピナイ罰金犯罪に変えたため、最近大きく変化しました。しかし、これは比較的新しい進展であるため、ピナイ罰金を含む告訴が、これらの民間被害者によって刑事事件として裁判所に提出されている事例がまだあります。よって、このことは、裁判所がそのような事件を進めることができるかどうかという問題が生じています。 タイは、より重大でない犯罪からピナイ犯罪にして、刑事罰の特定種類の罰金を非犯罪化するための新たな法的措置として、ピナイ罰金訴訟法B.E. 2565 (2022) (Act on Phinai Fine Proceedings B.E. 2565 (2022) – ACFP) が施行してから、一年間以上経過しました。これにより、ピナイに関連する犯罪者は、保釈提出、旅行制限、懲役、犯罪歴を含むタイ刑法及び刑事訴訟法に基づくすべての刑事手続及び刑罰の適用をを受ける代わりに、罰金のみを支払わなければならなくなりました。 現在進行中のピナイ犯罪の裁判はどうなるのですか? ACFPは、破産法 B.E.2483(1940年)、登録パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ、リミテッド・カンパニー、アソシエーション及びファウンデーションに関する犯罪の決定法B.E.2499 (Determining Offenses Relating to Registered Partnership, Limited Partnership, Limited Company, Association and Foundation Act B.E.2499)、労働関係法B.E.2518 (Labor Relations Act B.E.2518)、消費者保護法 B.E.2522 (Consumer Protection Act B.E. 2522)、株式会社法B.E.2535 (Public Limited Companies Act B.E.2535)及びACFPに列挙されたその他の法律に基づく犯罪を含む、204の法律に基づく犯罪を自動的にピナイ犯罪に変更しました。ACFPが施行されたので、これらの一般的なホワイトカラー犯罪の多くは、もはや犯罪ではなく、ピナイ犯罪となりました。この実際的な影響は、多くの犯罪がもはや犯罪とみなされないことです。 この変更の影響の1つは、裁判所で進行中のこれらの犯罪の裁判が、ピナイ事件の裁判に関する最高裁判所所長規則 B.E. 2565 (2023) (Regulation of the President of the Supreme Court on Trial for Phinai Cases B.E. 2565 (2023))に規定されたガイドラインに該当するピナイ訴訟に変更されることです。 上記規則には、欠席裁判や非同期裁判、書面審理、電子的手続など、ピナイ犯罪を明確に目的としたピナイ事件の手続及び手続ガイドラインが含まれます。また、判決の通知を書面で行い、当事者に判決の審理への出席を求めないことも規定されています。ピナイ事件に対する手続及びガイドラインは、民事事件及び刑事事件の手続よりも、より柔軟で、より便利で、より迅速な手続をもたらします。 刑事訴訟法とは対照的に、上記規則は、ピナイ事件の目的上、「原告」の限定的な定義を有しています。具体的には、上記規則第3条及び同第11条は、原告が「検察官又は政府職員」でなければならないと規定しています。これにより、裁判所に訴状を提出できる適格者の範囲が狭くなります。上記条項は、ピナイの犯罪者がピナイの告発を受け入れること、又はピナイの罰金を支払うことを拒否した場合に、ACFP第23条と整合するように設計されており、その場合、政府職員は、法律に別段の規定がない限り、裁判所に訴状を提出するために、事実と裏付け書類を要約し、最終報告書を検察官に送付しなければなりません。これにより、ピナイ事件の原告は、検察官又は政府職員に絞られ、労働争議、株主紛争、取締役紛争などに関する犯罪のように、犯罪者に対する交渉又は圧力ツールとして、被害者が裁判所に直接事件を提起するケースが実質的に減少します。 しかし、ピナイを告発する者は、ピナイを告発した者が罰金を科されるように、政府職員を通じて主張を補完したり、苦情を提出したりすることができます。ピナイの訴訟は、政府職員と検察官の決定を介して裁判所に提起することもできます。 原告が検察官や政府職員でない場合はどうなりますか? ACFP第23条と上記最高裁判所所長規則第3条および同第11条の影響は、原告が検察官や政府職員でない場合、裁判所は、原告がピナイ犯罪者に対してピナイ訴訟を提起する権限がないという理由で、訴訟を却下する以外の選択肢がないということです。これにより、裁判所は裁判の対象となる事件を受理しないことになります。 それでも、ACFPおよび上記規則は、裁判所そして多くの訴訟代理人が経験したことがない、又は深い知識を持っていない可能性が高い新しい手続法であることを否定することはできません。したがって、現地の専門コンサルタントに、ACFPおよび上記規則に関連する詳細又は更新を特定して説明し、裁判進行中のピナイ事件の戦略を分析することを求めることが推奨されます。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Case Dismissed: The Impact of the Phinai Law on Ongoing Criminal Cases
6月 11, 2024
タイでは、罰金に関する重要な新しい手続法により、刑事罰に対する特定の種類の罰金が大量に削除され、特定の行政的罰金の手続が変更されました。 タイ法の下で科される罰金には、一般的に刑事罰と行政罰の2種類がありました。しかし、2022年10月25日、ピナイ罰金訴訟法B.E. 2565 (2022) (Act on Phinai Fine Proceedings B.E. 2565 (2022) – ACFP) が制定し、刑事上又は行政上の法的メカニズムが適用されない罰金の種類を法制化しました。この法律は2023年6月22日に施行されます。 ピナイの罰金は刑事罰でも行政罰でもありません。軽微な犯罪に対する刑事罰の代わりに設定され、国に支払われます。ピナイの罰金に最も近いものは、「民事」制裁金です。ACFPの公式な翻訳がないため、現在のところピナイの公式な翻訳はありません。ACFPの下では、「ピナイの罰金を求める」(又はプラップペンピナイ)は、ピナイの刑罰犯罪者にピナイの罰金を支払うよう命じる具体的な意味を有すると判断されました。定義された用語の意味は、刑事罰でも行政罰でもないピナイの刑罰の一種を反映しています。 ACFPの成立により、タイにすべてのピナイの罰金に対する特別な手続法を提供し、罰金と行政罰の分類および徴収に最終的に大きな変更をもたらします。 ACFPは、ピナイの罰金を求める手続は行政行為とはみなされないが、ピナイの罰金は刑事罰の一種ではないことを明確にしています。これらの種類の手続を通常の行政的及び刑事的法的メカニズムから分離することにより、ACFPは法律が特にピナイの罰金を科している違反に適用される別個の法的手続を提供します。 罰金を科すことは、タイの刑法上の刑事制裁です。罰金は、死亡、懲役、拘留、財産没収とともに、刑法第18条に規定されている5種類の刑事罰の一つに分類されています。特定の犯罪については、この最近の進展により、それらの犯罪の罰金がピナイ罰金又は(又はkha prap pen phinai)に変更され、犯罪が犯罪でなくなります。さらに、告訴により刑事裁判所で手続を進めることが法律で定められている特定の行政上の罰金も、ACFPの影響を受ける可能性があります。これらの変更は、犯罪者の刑事記録を持つリスクを排除し、行政上の罰金犯罪が裁判所に提出される際の裁判所の明確な前提条件を提供します。 ACFPは、これらの変更の影響を受ける204の法律を特定しています。最初のリストは168の法律、2番目のリストは33の法律、3番目のリストは3つの法律で構成されています。 これらのうち最も重要なものは、3つのリストのうちどれに該当するかによって以下に特定されています。 リスト1:これらの法律では、罰金のみにより罰せられる犯罪はピナイ罰金罪とみなされ、ACFPの公表から1年後に、従前規定された罰金に代わってピナイ罰金が適用されます。このリストの注目すべき法律(改正を含む)は以下のとおりです。 登録パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ、リミテッド・カンパニー、アソシエーション及びファウンデーションに関する犯罪の決定法E.2499 (Determining Offence Relating to Registered Partnership, Limited Partnership, Limited Company, Association, and Foundation Act B.E. 2499) 直接販売及び直接マーケティング法 (B.E.2545 Direct Sales and Direct Marketing B.E. 2545) アルコール飲料規制法E.2551 (Alcoholic Beverage Control Act B.E. 2551) タバコ製品規制法E.2560 (Tobacco Product Control Act B.E. 2560) 労働保護法E.2541 (Labor Protection Act B.E. 2541) 商標法E.2534 (Trademark Act B.E. 2534) 船舶油濁損害賠償民事責任法E.2560 (Civil Liability for Oil Pollution Damage Caused by Ships Act B.E. 2560) 生命保険法E.2535 (Life Insurance Act B.E. 2535) 社会保障法E.2533 (Social Security Act B.E. 2533) 土地建物税法E.2562 (Land and Building Tax Act B.E. 2562) 労働関係法E.2518 (Labor Relations Act B.E. 2518) 破産法E.2483 (Bankruptcy Act B.E. 2483) リスト2:このリストの法律については、罰金のみを科される犯罪は、国王令によってのみピナイ罰金罪に変更することができます。これらの法律(改正法を含む)には、次のようなものがあります。 航空保安法E.2497 (Air Navigation Act B.E. 2497) 外国人労働管理緊急令E.2560 (Foreigners Working Management Emergency Decree B.E. 2560) デジタル資産業務に関する緊急令E.2561 (Emergency Decree on Digital Asset Businesses B.E. 2561) 移民法E.2522 (Immigration Act B.E. 2522) 工場法E.2535 (Factory Act B.E. 2535) 麻薬法 (Narcotics Code) 証券取引法E.2535 (Securities and Exchange Act B.E. 2535) リスト3:このリストの法律に規定されている行政上の罰金は、ACFPの公表から365日後にピナイ罰金となります。このリストには以下の法律が含まれる(改正を含む)。 コミュニティフォレスト法 (Community Forrest Act B.E.2562) タイ船舶法E.2481 (Thai Vessels Act B.E. 2481) 社会企業振興法(B.E.2562 Social Enterprise Promotion Act B.E. 2562) ACFPはまた、リスト1とリスト2に法律であり、罰金のみが科されているにもかかわらず、犯罪がピナイ犯罪にならないケースを2つ挙げています。1つ目は、法人に対する罰金に限定された犯罪であるが、同じ犯罪には懲役と一般人に対する罰金の両方が併科されます。2つ目は、再犯に対して罰金よりも重い刑罰が科される犯罪として示されている場合(又は法律で規定されているその他の理由がある場合)、その犯罪はピナイ犯罪とはなりません。 ACFPの公表から1年後、地方行政機関は、地方法の下で刑罰として罰金を科することができなくなります。その代わり、地方法で罰金が科される可能性のある犯罪は、ピナイ罰金犯罪とみなされます。 効果 ACFPは、様々な違反をピナイ罰金犯罪として再分類しています。これは、これらのピナイ罰金の対象となる犯罪者は、潜在的な犯罪が刑事犯罪とは見なされなくなるため、犯罪歴を持たないことを意味します。さらに、この再分類は、過去に行われた関連犯罪にも適用されます。すなわち、上記の刑事犯罪の1つを行った人もACFPの恩恵を受けます。なぜなら、その犯罪に関する以前の犯罪歴は、完全に削除又は消去されなくても、その人に悪影響を及ぼさなくなるからです。さらに、現在審理中である人や、罰せられたり、犯罪者として扱われたり、投獄された人は解放されます。 ACFPの影響を受ける法律の多くは、企業にとって重大な関心事であり、雇用、工場、環境問題、保険に関する法律に含まれます。ACFPの制定は、それらの法律で扱われている犯罪や不正行為に対して広範囲に影響を及ぼします。ACFPに規定されている制裁を完全に理解するためには、起業家とその弁護士がACFPと関連してそれらの法律を読む必要があります。刑事罰に罰せられるべき行為はもはや刑事犯罪ではなく、該当する罰はACFPの下で手続的に異なる可能性があります。いずれにしても、良心的な法律アドバイザーは、ACFPの最も関連性の高い詳細を特定し、説明することができるだけでなく、ビジネスへの潜在的な影響も説明することができます。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 The Phinai Fine and the Decriminalization of Various Offenses
2月 19, 2024
ベトナムの新しい消費者権利保護法No. 19/2023/QH15 (以下、「CPL 2023」という。) が2023年6月20日に国会で公布され、2024年7月1日に施行される。新しい消費者権利保護法は既存の消費者権利保護法No. 59/2010/QH12 (以下、「CPL 2010」という。) に代わる。CPL 2023の主な重要事項を以下に要約する。 消費者の定義 CPL 2023では、消費者は「商業目的ではなく、個人、家族、または組織の日常的なニーズのために消費することを目的として、製品、商品、およびサービスを購入および/または使用する人」と定義されている (第3.1条) 。 CPL 2010と比較して、この定義では、商品やサービスの消費に限定的に焦点を当てることを強調するために、 「商業目的ではない」 という文言が導入されている。しかしながら、CPL 2023は、消費者を定義するために 「人」 という用語の使用を維持しており、組織または家族が消費者として適格であるかどうかについて不確実性をもたらしている。同様に、CPL 2023は、CPL 2010と同様に、 商品/サービスの購入 (未使用) または使用 (未購入) が、法の下で消費者としての資格を得るのに十分であるかどうかは、曖昧なままである。 脆弱な消費者 CPL 2023は、 「脆弱な消費者(vulnerable consumer)」 として知られる新しい概念を導入しています。この用語は、製品/サービスの購入または使用時に、情報アクセス、健康、財産、または紛争解決の観点から、様々な不利な状況にさらされる可能性のある消費者に関連する。このカテゴリーには、高齢者や障害者、子ども、少数民族、遠隔地または経済的に困難な地域の人々、妊娠中の女性および36ヶ月未満の乳児の授乳中の母親、重度の疾患を有する個人、および貧困世帯の構成員などが含まれる (第8.1条)。 脆弱な消費者の権利と特権は、この法律およびその他の関連特別法に従って保護されなければならない (第8.2条 (a) ) 。取引者は、脆弱な消費者から保護の要請を受けた場合、その要請の受領と処理を優先し、第三者が関連する責任を負う場合を除き、その要請を第三者に譲渡しない義務を負う (第8.2条 (c) ) 。これらの要請の受領または処理の遅延、優先権の拒否、または要請の受領または処理の拒否があった場合、取引者は民法に従って脆弱な消費者に補償を提供する義務を負う (第8.2条 (d) ) 。さらに、取引者は、脆弱な消費者の苦情を申し立て、紛争解決を要請する権利およびその他の権利を保障するために、脆弱な消費者の各グループに適した手順と措置を策定し、定めることも求められる。また、本社および事業所またはウェブサイトやアプリに掲示・投稿することにより、脆弱な消費者が一般に利用できるようにする(第8.3条(dd, e))。 消費者情報の保護 CPL 2010は 「消費者情報」 の定義を欠いているが、CPL 2023はより包括的な定義を提供している。CPL 2023の下では、 「消費者情報」 には、消費者の個人情報と、製品、商品、サービスの購入および利用プロセスに関する情報と、消費者と取引業者との間の取引に関連するその他の情報とが含まれる(第3.3条) 。したがって、消費者情報の範囲は個人データの範囲よりも広い。 消費者情報保護に関する CPL 2023 に基づく一般規則は、他の法律の個人データ保護に関する規制に規定されている一般規則と対応している。特に、特定の規定された情報を事前にデータ主体に通知することに関する規則; 消費者情報の収集と処理の前にデータ主体の明示的なオプトイン同意を得ること; および消費者情報の安全性を確保することに関して、他の法律に基づく個人データ保護に関する規則と対応している。しかしながら、消費者の個人データの保護に関連する特定の要件に関しては、CPL 2023と個人データ保護に関するDecree 13/2023/ND-CP (以下、「PDPD」という。) の間には、個人データを処理する前にデータ主体に通知するための異なる要件やセキュリティインシデント (security incidents) の通知の異なるスケジュールなど、依然として不一致がある。これらについてCPL 2023とPDPDのどちらが優先されるかは不明である。 インフルエンサー CPL 2023では、「インフルエンサー」(influencer)という新しい概念が導入されている。これは、特定の分野、業界、または職業において、専門家、信頼性のある人物、または社会に認知されている人物として定義されている(第3.9条) 。これらのインフルエンサーは、フォロワーの行動や購入決定に大きな影響を与える可能性があり、消費者により影響を与えやすく、保護を強化する必要がある。 CPL 2023の下では、取引業者がインフルエンサーを利用して自社の製品、商品、またはサービスに関する情報を消費者に広める場合、インフルエンサーは、そのような情報を提供するためにスポンサーになっていることを事前に消費者に通知する義務がある。さらに、インフルエンサーと取引業者は、製品、商品、またはサービスに関する不正確または不十分な情報を提供した場合、そのような情報の正確性と妥当性を検証するためのあらゆる手段が講じられていることが証明されない限り、共同責任を負う (第22条) 。 オンライントレーダー、仲介デジタルプラットフォーム、リモート取引 CPL 2023は、リモート取引に関連して消費者保護を強化することを目的とした新しい義務を導入している。リモート取引はベトナムで人気が高まっているが、消費者は詐欺的な広告、劣悪な製品やサービス、模倣品の被害に遭うリスクが高くなっている。 CPL 2023は、消費者が取引に参加する前に製品、商品、またはサービスを検査したり、直接対話したりする機会がない、インターネット、電子的手段、またはその他の手段を介して行われる取引を 「リモート取引」 (remote transaction) と定義している(第3.5条) 。一般に、取引業者は、その身元、提供した製品またはサービス、消費者の権利、製品/サービスの交換または返品または契約の終了の手順、消費者の苦情を処理する手順について、規定に従って正確かつ十分な情報を提供することが求められる (第37条) 。オンライン取引業者には、独自に確立された情報システムまたはデジタルプラットフォームを介して製品またはサービスを提供する業者と、仲介デジタルプラットフォーム事業者が含まれる(第39.1条) 。仲介デジタルプラットフォーム事業者には、特に以下を含む義務が強化されている (第39.3条) 。 消費者の権利の保護に関連する問題に対処するために当局と協力する窓口および/または権限を与えられた代表者を指定し、公表すること; 当局の要請により実施されたコンテンツ検閲活動に関する報告書を提供すること; オンライン報告アカウントを維持し、検査目的で最新の情報とデータを提供すること CPL 2023は、大規模な仲介デジタルプラットフォーム事業者に関する追加的な義務を規定しており、これは政府がその後の法令で定義することになっている。大規模な仲介デジタルプラットフォーム事業者は、特定の消費者や消費者グループをターゲットとするアルゴリズムを使用して広告アーカイブを設定し、このシステムと、偽アカウントの処理と、人工知能の使用と、完全または部分的に自動化されたソリューションの実装とを定期的に評価しなければならない (第39.4条) 。 仲介デジタルプラットフォーム事業者は、特に次のことを禁止されている(取引業者の商品やサービスをデジタルプラットフォーム上に、配置基準を開示せずに特定の優先順位で配置することにより、消費者の選択を制限すること;デジタルプラットフォームの通常の運用をサポートする基本的な技術機能に影響を与えない組み込みのソフトウェアやアプリを消費者が削除することを防ぐこと;または、付随するソフトウェアやアプリをデジタルプラットフォームにインストールすることを消費者に強制すること)(第10.3条)。 サービスの継続的な提供 サービスの継続的な提供は、遠隔取引および直接販売と並んで、CPL 2023の規制対象となる三つの「特定取引(specific transaction)」を構成する。「サービスの継続的な提供」は、少なくとも3月間、または無期限ベースでのサービスの提供を意味する(第3.6条)。サービスの継続的な提供に従事するトレーダーには、ベトナムにおける法定代理人を公表する必要があるなど、より厳しい責任が課される。ベトナムにおける法定代理人がいない場合には、ベトナムにおける委任代理人を任命し、その任命を公表しなければならない(第41.1条)。 直接販売 CPL 2023で規制されている直接販売には、次の3つのタイプがあります。 (1) 訪問販売とは、消費者の住居や職場で製品や商品を販売したり、サービスを提供したりすることである。 (2) マルチレベルマーケティングとは、さまざまなレベルの参加者のネットワークを通じて商品を販売することであり、参加者の個人的な売上と参加者の下位にある他の販売業者の売上に基づいて、コミッション、ボーナス、その他の経済的利益が参加者に支払われるか、支払われる可能性がある。 (3) 店舗外販売とは、製品や商品が小売されたり、サービスが提供されたりする固定された通常の場所以外の場所で、製品を紹介したり、販売したり、サービスを提供したりすることである (第3.7条) 。 (1) 訪問販売・外部販売 書面による総額1,000万ベトナムドン (約410米ドル) 以上の訪問販売契約または外部販売契約の場合、消費者は3日の営業日以内に再考し、販売業者に通知することで一方的に契約を解除することができる (第44.2条および47.1 (g) ) 。これらの場合、店舗外販売の販売業者は、販売日または供給日から30日以内に、地元の人民委員会に通知し、製品またはサービスを引き取らなければならない。ただし、包装またはラベルが無傷であり、製品が期限切れでないことを条件とする(第47.1(a), (dd))。 (2) マルチレベルマーケティング ベトナムにおける(2) マルチレベルマーケティングは、歪曲や潜在的な詐欺の影響を受けやすく、より厳しい規制が課されている。マルチレベルマーケティング業者は、その活動が組織の事務所、営業拠点、または組織が主催する会議や研修イベント中に行われた場合、参加者の活動に責任を負うことが求められる (第45.1条 (dd) ) 。マルチレベルマーケティング業者の禁止事項には、以下の行為が含まれるが、これらに限定されない(第10.2条)。 マルチレベルマーケティングへの参加の前提条件として、参加予定者に対して手付金や支払いを要求したり、特定数量の商品を購入したりすることを要求すること。 マルチレベルマーケティングに関与する消費者や個人に虚偽または欺瞞的な情報を提供すること。 実際の商品の売買取引を伴わないマルチレベルマーケティングネットワークの構築。 消費者との契約、定型契約、一般取引条件 CPL 2010では、消費者との契約に使用する言語をベトナム語と規定しているが、CPL 2023では、当事者間で別段の合意がある場合や法律で別段の定めがある場合を除き、消費者との契約、定型契約、一般取引条件に使用する言語をベトナム語と規定している。当事者は、ベトナムの少数民族の言語や外国語を追加的に使用することに合意することができるが、常にベトナム語版が必要である。ベトナム語版と他の言語版との間に相違がある場合は、消費者に有利なバージョンが優先される (第23.2条) 。 CPL 2023はまた、契約、定型契約、一般取引条件における禁止条項 (またはCPL 2010の言語では無効な条項) のリストを修正および拡張し、以下の禁止事項を追加している (第25条) 。 消費者の契約解除権に関する規定を設けずに、取引業者が一方的に一般取引条件を変更することを認めること。 消費者の契約解除権に関する規定を設けずに、取引業者がサービスの継続的な提供中に価格を変更することを認めること。 契約違反または契約解除の結果として、 (取引業者または供給者と比較して) 消費者により不利な制裁を規定すること。 事前通知義務や消費者が契約の延長または解除を選択できる仕組みを定めずに、取引業者が消費者と締結した契約を延長することを認めること。 法律に別段の定めがある場合を除き、取引業者による消費者情報の収集、保存または使用に対する消費者の同意が、契約の締結および一般的な取引条件の前提となることを規定すること。 民法の規定による信義誠実の要件に反し、当事者の権利義務の不均衡を生じさせ、消費者に不利益をもたらす条件を規定すること。 欠陥製品とリコール CPL 2023 では、欠陥製品を 2 つのタイプに分類している(消費者の生命と健康に損害を与える欠陥製品 (グループ A) 、消費者の財産に損害を与える欠陥のある製品(グループ B))。欠陥製品が消費者の生命・健康および財産の両方に損害を与える可能性がある場合、それらはグループ A に属するとみなされる (第 33.1 条) 。 グループAの取引業者の製品回収に関する義務は、グループBの取引業者よりも厳格である。ただし、両グループとも、欠陥製品が発見された場合には、直ちに欠陥製品の流通を停止し、回収プロセスを開始するための措置を講じなければならず、回収が完了するまでの間、本社および営業所、ウェブサイトやアプリ (ある場合) で欠陥製品と回収を公表しなければならない。グループAの取引業者は、欠陥製品が流通している地域の中央レベルで、印刷された新聞、オンライン新聞、またはラジオやテレビ局で、少なくとも連続して5日以上にわたって、そのような公表を行う追加的な義務がある(第33.2条及び第33.3条)。 さらに、CPL 2023は、CPL 2010には規定がなかったリコールプログラムの詳細を得るために、国家機関が企業から積極的に情報を収集しなければならないという問題に対処するための規制を導入している。具体的には、取引業者は製品に欠陥があることを発見した場合、リコールの前後に関係当局に報告書を提出し、提出された報告書に記載された情報に従ってリコールを実施し、また、関連するリコール費用を負担することが要求される (第32.1条 (c) ) 。 紛争解決 CPL 2023は、消費者と取引業者との間の紛争解決について、交渉、調停、仲裁、裁判の四つの方法を維持している。 交渉については、CPL 2023は、取引業者が消費者の請求に応じない場合、又は正当な理由なく交渉を拒否した場合に、消費者の正当な権利利益が侵害されたときに、消費者が消費者保護当局又は消費者の権利の保護に従事する社会団体に対して、消費者の交渉の援助を求める権利を補完している(第56.3条)。今回の追加は、消費者と取引業者との間の紛争解決のための交渉方法の改善を目的としている。 裁判手続については、CPL 2023は、取引額1億ベトナムドン (約4, 100米ドル) 未満の消費者保護に関する民事事件について、民事訴訟法の所定の要件を満たすことなく、簡易な手続で解決することを規定している(第70.2条)。これにより、裁判手続の効率性が大幅に向上することが期待される。消費者保護を行う社会団体が開始した公益のための消費者保護の民事事件の損害賠償金は、賠償先が確定しない場合には、一般消費者利益活動に使用される(第73.2条)。この新たな規定は、消費者保護活動の支援体制を確立することを目的としている。 新しい消費者保護法の詳細について、Giang Thi Huong Tran([email protected])、又はMichelle Ray-Jones ([email protected])までお問い合わせください。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Significant Aspects of Vietnam’s New Consumer Protection Law
11月 14, 2023
他のタイプの企業紛争と同様に、税務関連の紛争はしばしば、法廷外の問題を解決しようとする努力から始まります。商業上の関係、法的費用、及びその解決をめぐる不確実性に潜在的な負担がかかることを考えると、税務訴訟に期待することは難しいかもしれない。しかしながら、税務訴訟が救済を求める唯一の手段となる場合もある。 税金に関連した法的救済の追求を検討している個人及び企業にとって、タイの法制度は、紛争解決策にとって、利用しやすく、偏りのない、公平なプラットフォームを提供している。『タイにおける税務訴訟』は、タイの法的枠組みの中で税金に関連した紛争をナビゲートするための概要を提供しており、タイの税務訴訟の状況の中で、手続と実務の基本的な理解を読者に提供することを目的としている。 完全なガイドは、下のボタンから入手できます。   備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Tax Litigation in Thailand