コロナ禍で外国にいる株主や取締役がタイに来ることが困難な状況をふまえ、2020年4月19日に発出された「電子システムによる会議開催にかかる勅令」(以下「新勅令」)により、取締役会や株主総会について海外からのTV会議参加が認められることとなりました。また、新勅令の補足として、2020年5月26日にデジタル社会経済省(The Ministry of Digital Economy and Society)から電子会議システムのセキュリティ基準についての通知が発出されております。これらを踏まえ、電子システムによる会議の要件を、以下ご説明いたします。
まず、新勅令において、求められている要件としては、以下の5つです(新勅令第9条)。
- 会議開始前に参加者の本人確認を行うこと
- 会議中に、出席者が通常投票及び匿名投票ともに実施できるようにすること
- 書面による取締役会議事録を作成すること
- 秘密会議の場合を除き、会議の最初から最後までの会議の録音または録画を行うこと。
- すべての出席者の電子トラフィックデータを保存しておくこと
なお、(4)(5)の情報は、議事録の一部とみなされます。
また、デジタル社会経済省からの電子会議システムのセキュリティ基準についての通知によりますと、電子会議システムは以下のセキュリティの要件を充たす必要があります。
- 本人確認方法について、ユーザーネームとパスワードやワンタイムパスワードなど安全な方法を採用すること
- クリアで継続的な双方向のコミュニケーションが行える十分な回線容量を有していること
- 会議の議長またはシステム管理者は、出席者の参加につき、コントロールまたは制限できる技術的な方法を有していること
- 出席者は、会議において示される書類やデータにアクセスできること
- 出席者が投票を行うことのできるテクニカルツールがあること
- 会議に関連する記録やデータ(本人確認方法、投票の方法及び結果、音声または画面の記録、出席者の電子トラフィックデータ、会議の中断があった場合はその中断を含む)を保管すること。
- 会議の中断や通信エラーが起こった場合に、出席者はそれを報告することができ、会議の主催者はそれらの問題に対する適切な解決方法や予防につき準備していること
- 会議は、守秘義務、整合性、アクセス、プライバシー、個人情報保護、他のITのセキュリティの観点から、最低限のITセキュリティーの要件を充たすこと
電子システムによる取締役会または株主総会を開催する場合、のちに同会議が無効と主張されないよう、上記の要件を充たす必要があることに、ご留意ください。