ベトナム保健省(Ministry of Health )は、2025年5月16日、医薬品及び医薬品原料の登録に関する通達第12/2025/TT-BYT(Circular No. 12/2025/TT-BYT on registration of drugs and drug materials)(以下、通達第12号という。)を公布した。通達第12号は、医薬品登録に関する現行規則である通達第08/2022/TT-BYT(改正版)、委託製造及び技術移転における医薬品の登録に関する通達第16/2023/TT-BYT、並びに市販薬リストを公表する通達第07/2017/TT-BYTに代わるものであり、2025年7月1日に施行される。
通達第12号の主な規定の一部を以下に概説する。
市販薬の規制
通達第12号は、従来通達第07/2017/TT-BYTで規定されていた市販(over-the-counter)薬の詳細なリストを廃止するものである。分類用固定リストに依拠する方法に代えて、通達第12号では、非処方薬/市販薬の分類に関する原則、基準、および具体的な方法に基づく新たな枠組みを導入している。このアプローチは、安全性の向上、迅速なアクセスの確保、実際の使用状況と供給状況の反映、そして国際基準への適合を目的としている。
既に承認されている医薬品は、販売承認(marketing authorization)の有効期間中、その分類(すなわち、処方薬または非処方薬)が維持され、販売承認の更新時に再分類が検討される。分類の変更を申請する場合、販売承認保有者はベトナム医薬品管理局(Drug Administration of Vietnam)に変更申請用書類(variation registration dossier)を提出する必要がある。
現在 ベトナム医薬品管理局 によって評価中の医薬品登録用書類については、通達第12号に定められた新しい規定に従って分類が評価される。
医薬品登録
通達第12号の規則は、医薬品証明書(Certificate of Pharmaceutical Product)の提出要件を緩和している。すべての医薬品登録において、製造国の管轄当局、または欧州医薬品庁(European Medicines Agency)加盟国もしくはSRA(Stringent Regulatory Authority)が発行し、当該医薬品がその国で認可され、積極的に販売されていることを確認する医薬品証明書が1通あれば十分となる。従前の規則では、特定の状況において追加の医薬品証明書または同様の法的文書が必要となる場合があった。
他の機関によって評価された登録用書類の参照結果を利用した医薬品の登録に関して、
・登録用書類は、評価報告書に記載されているとおり、欧州医薬品庁またはSRAによる医薬品の初回承認日から5年以内にベトナムに提出する必要がある。
・ベトナムに提出される登録用書類には、( i )欧州医薬品庁またはSRAが発行した評価報告書、および(ii)ベトナムの医薬品登録用書類と欧州医薬品庁/SRAが承認した書類との類似点の比較表が含まれている必要がある。
販売承認延長:新しい規則では、販売承認の有効期限が切れる前であればいつでも延長用書類を提出できる。
追加登録用書類のタイムライン:ベトナム医薬品管理局からの欠陥通知に応じて追加登録用書類を提出する期限は、すべてのケースで 6月間に短縮されている。
追加申請回数の制限:通常、ベトナム医薬品管理局専門家からの要請に応じて、最大2回の追加申請が許可される。3回目の追加申請は、2回目の申請中に追加の要件が提示された場合にのみ許可される。これらの制限は、医薬品登録諮問委員会(Advisory Council for Drug Registration)が発行する追加申請には適用されない。
見解
通達第12号は、ベトナムにおいて医薬品および医薬品原料を製造・取引する企業に影響を与える。これらの企業は、改正規定を適時に遵守できるよう、新しい規則を徹底的に検討することを提案する。
備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。