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8月 29, 2025

インドネシアにおける国際商標登録の拒絶への対応

国際商標登録のためのマドリッド協定議定書制度は、単一の出願で複数国に商標を登録できる、簡素化された費用対効果の高い方法を提供している。インドネシアは2018年にマドリッド協定議定書制度に加盟し、2024年だけでも本制度を通じて8,600件以上の出願があった。本制度は効果的であるが、商標権者は登録手続中に発生する可能性のある拒絶リスクを認識することが重要である。商標出願人は、インドネシアを指定する際、これらの重要な点に細心の注意を払う必要がある。

応答のための現地代理人の任命

暫定拒絶通報を受けた国際登録出願の出願人または代理人は、暫定拒絶通報に対する応答するために、インドネシアの現地代理人を任命しなければならない。任命は、インドネシアにおける暫定拒絶通報への応答のみを目的としており、国際登録出願が暫定拒絶通報を受けていない場合は不要である。また、現地代理人はWIPOに登録しないことである。登録した場合、すべての指定国における代理人の登録に影響を及ぼすからである。

応答期間

暫定拒絶通報への応答期限の計算方法に関して、DGIPとWIPOの計算方法には相違がある。インドネシア商標法では、商標権者は週末と祝日を除く30営業日以内に応答可能である。しかしながら、 DGIPの暫定拒絶通報に添付されるWIPOのカバーレターには、暫定拒絶通報への応答開始日および応答期限の両方が記載されており、週末と祝日を含む30暦日として計算されている。したがって、この問題を回避するために、国際登録に関する暫定拒絶通報への応答は、WIPOのカバーレターに従って提出する必要がある。

拒絶理由

インドネシア商標公報に国際登録出願が掲載された後、知的財産権総局(DGIP: Directorate General of Intellectual Property)の審査官による実体審査が行われる。商標は主に、絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に基づいて審査される。

国際出願は通常、相対的拒絶理由、具体的にはインドネシアで先登録されている商標との類似性に基づいて拒絶される。潜在的なリスクを軽減し、効果的な戦略を策定するために、出願前に対象国で商標調査を実施することを提案する。

拒絶理由の解消

引用商標のステータスを確認することは、拒絶理由を解消するための戦略を決定する上で重要である。以下に、拒絶理由を解消するためのいくつかの戦略を示す。

  • 回答提出 拒絶理由に対する応答は、商品の外観、発音、概念、性質の違いに基づく意見書を提出することにより可能である。
  • 抵触する区分の削除 複数区分出願において、1つの区分が拒絶されている場合、出願された全ての区分の審査が遅れる可能性がある。拒絶が出願全体ではなく特定の区分にのみ影響する場合、商標出願人は、抵触しない区分の登録手続を進めるために、拒絶された区分を削除することを検討する場合がある。
  • 同意書(Letter of consent)または商標譲渡 DGIPは、出願人に対し、同意の証拠を提出して出願を裏付けることを推奨している。したがって、引用商標の所有者に連絡を取り、両商標の共同登録を認める同意書を取得することは、審査官の裁量により拒絶を回避できる選択肢となる可能性がある。同一企業グループ内の企業が所有する先登録商標との類似性により国際登録出願が拒絶された場合、商標所有者は、引用商標の所有権を譲渡するための譲渡記録を提出し、両商標を同一の所有者に帰属させることも可能である。
  • 商標出願の補正および再出願 識別力を有する要素を追加したり、特定の商品を削除して、商標出願を再出願することは、引用商標との類似性を排除する効果的な戦略となり得る。引用商標の有効期限が近づいている場合、商標権者はその状況を監視することを検討すべきである。商標が更新されない場合は、国内ルートで出願を再出願することが現実的な選択肢となる場合がある。あるいは、インドネシアの領域指定を放棄し、新たにインドネシアの事後指定を申請することも可能である。
  • 訴訟 商標所有者は、最後の手段として、引用商標に対して訴訟を起こすことができる。訴訟には、不使用取消や、類似性または悪意に基づく取消訴訟の訴訟の提起が含まれる。これらの訴訟は、インドネシア商事裁判所が管轄している。

応答に関する審査プロセス

応答が認容されると、DGIPの審査官は約3~6月以内に再審査を行う。この期間は審査官の作業量によって変動する場合がある。応答により拒絶理由が解消すると、出願は登録段階に進み、DGIPはWIPOを通じて登録代理人に直接、保護認容声明を発行する。

応答が棄却が却下された場合、DGIPの審査官は現地代理人および登録代理人に対し、拒絶の決定を発行する。出願人は、通知日から90営業日以内に商標審判委員会に審判を請求することができる。審判が請求されない場合、出願人は拒絶の決定を受諾したものとみなされる。審判が請求された場合、商標審判委員会は約4~6月以内に審理を行う。

結論

マドリッド協定の議定書制度を利用してインドネシアで商標登録手続を進めることは容易ではないが、適切な戦略と現地の専門知識があれば、問題なく対応できる。拒絶理由を理解し、それを克服するための様々な選択肢を検討することで、商標所有者は登録の可能性を大幅に高めることができる。スムーズで効率的な登録プロセスを確保するには、現地の弁護士に相談し、最新の動向を常に把握することが不可欠である。商標出願はそれぞれ異なるため、インドネシアでビジネス目標を達成するには、個々の状況に合わせたアプローチが鍵となる。

 

ご質問等があれば、Karenina Aulia ([email protected])、Wongrat Ratanaprayul ([email protected])までお問合せください。

 

備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。

Responding to Refusal of an International Trademark Registration in Indonesia

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